〜カヤックで琵琶湖を旅するブログ〜
澄明な奥伊勢湖

 フェイスブックに、「カヤック」のグループがあって僕はそこに参加している。参加していると言っても、集会があるわけではないので、メンバーの漕行記録を閲覧したり、たまに投稿するといった活動内容になる。
 カヤックという趣味も、何年もやっていると近場で漕ぎたい場所は漕いでしまっている。お気に入りのゲレンデは、何回行っても楽しいんだけど、やはり未経験の場所を漕いでみたい気持ちが常にある。ゲレンデの情報収集として、「カヤック」のグループは参考になるのだ。
 奥伊勢湖は、昨年このグループに投稿されていた。抜群の透明度と川に流れ込む無数の滝の写真を見て、素晴らしいところだと思い、いつか行ってみようと思った。岐阜からだと少し遠いけど高速道路を使えば日帰りで行ける距離だ。

 雨が降ると数日間は川は濁るのである程度晴天が続き、かつ、ダム湖の水深が80メートルほどあると、より上流の方まで漕ぎ進むことが出来るらしい。と、フェイスブックのカヤックのグループに書かれていたので、それを参考にした。

 出艇地は「さくらの里公園」で、ここはコンクリートのスロープがあって、カヤックを出しやすい。おまけにトイレもあるし、足洗い場まである。至れり尽くせりである。

 今回は安心のアルピナ2−430を使うが、これも一年ぶりである。このカヤックの組み立て時の一番の難点はテンション掛けをする直前に、フックに紐を掛ける作業である。450の場合は、すんなりいくのになあ。苦労しているのは僕だけかな。個体差なのかもしれないけど。いつか船体布をフジタカヌーにメンテナンスに出すことがあったら、ここは可能であれば調整してもらおうと思っている。今年で9年目になるけど、あちこちに開いた穴を補修しつつ使っているけど、何の問題もない。ファルトボートって、いったいどんな形で最後の時を迎えるんだろうな。部品交換さえすればずっと使えそうな気がする。

 

 準備が終わり11時頃に、カヤックを出す。上流の方へ向けて漕ぎ進むが、湖というよりは、流れのない川を漕いでいる感覚だ。今の時期、ツブラジイが金色に輝いて初夏の山の風景によく映える。漕ぎ始めて30分ほどは水深が結構あるせいか、透明度を実感するに至らない。

 

  しばらく漕ぎ続けると、水深が浅くなり、川底が見えるようになってくると、その澄明さに感動を覚える。パドルを縦に水に沈めてみたけど、底に届かない。僕のパドルは230cmなので、少なくてもそれ以上の水深はあるのだが、かなり深いところまで見通すことが出来る。
 
 カヤックの下にまるで鯨でもいるかのように、影が川底に映る。そうした現象は、水の透明度だけではなく、水面に波が立っていないこととある程度の水深が必要だ。澄んだ水を求めるなら、川の上流部へ行けばいいのだが、水深が浅いためファルトボートのフィールドではない。しかし、ここは、浅瀬がないので、ファルトボートでも十分、漕ぐことが可能だ。

 

 

 

 奥伊勢湖は、宮川にある三瀬谷ダムによって貯水されたダム湖なので、細長い様相をしていて周囲の山からいくつもの滝が流れ込んでいる。大きな滝はないが、それぞれ形状が違うので、見ていて飽きない。カヤックの舳先を滝の真下に着けてみると、カヤックがさながら太鼓のように、音を響かせる。

 ここはダム湖であるため、両岸は急峻な斜面になっており、上がる場所はほとんどない。休憩するために岸に上がりたい場合は、湖が終わり川が始まる場所まで漕ぐしかない。その場所は、ダム湖の貯水位によって変わる。
 この日は、さくらの里公園から4キロほど遡った地点がその場所だった。
 

 昼食後、来た時と同じ行程で戻ることにする。たまに猿の鳴き声が聞こえるが姿は見えない。時折、アマゴだろうか。側面に斑点がある渓流魚がカヤックの下を泳ぎぬけていく。

 往路は、景色に見とれてあちこちで止まりながら漕ぎ進めて行ったが、復路はひたすら漕いだせいか同じ距離を漕いでいるにも関わらず、遠く感じた。
 さくらの里公園から下流へ少し下ったところに入り江があるらしく、そこには美しい光景があるということで、行ってみることにする。この時点で結構疲れていたけど、辛抱してもう少し漕いでみる。

 

 入り江に入ってみると樹木が生い茂り、その隙間からたまに光が差し込むが、薄暗い。森の渓谷を漕いでいるような不思議な場所である。この入り江は距離的には短いのだが、いろいろなものを見ることが出来る。名もなき三本の滝とか。

 

 4時ころに、再びさくらの里公園に戻り、この日は終了。たっぷりと一日遊んだ充実感がある。 漕いだ距離は12キロ。

安曇川河口の新緑

 

 世間では10連休のGWである。気候の良いこの時期にここまで長期の連休なんて稀有なことである。(僕は10連休じゃないけど)何の実績も残さないままGWが過ぎてしまうのは悔しいので一年ぶりにカヤックに乗ることにした。

 このブログ、一年も放置してあった割には見てくださっている方もいるらしく、僕の安否を気遣うメールをいただくこともある。気にかけていただいたありがとうございます。

 漕行記には、冒頭にGPSロガーで記録した軌跡をグーグルマップで表示しているのだが、APIキーを取得しないと地図が表示出来ないようになってしまった。APIキーを取得する気はなかったため、別の地図データを表示させるには過去の地図データファイルを再作成しなくてはならず、その作業にうんざりした。でも、頑張って作業しましたよ。

 何でしばらくカヤックに乗っていなかったかと言うと、カヤックに纏わる面倒くささが楽しさを上まっていたからということと、他の趣味に傾倒していたためである。後者の理由はいいとしても、前者の理由は根が深い。

 「面倒くささ」というのは、ファルトボート故に組み立て作業が面倒くさいという意味ではない。まあ、ちょっとはそれもあるけどね。でもそれは、折りたたんで運べるという利便性とのトレードオフだから仕方がない。面倒くささというのは、カヤックの危険性に対する恐怖と水辺で発生する人間関係(主に釣り師)とのトラブルである。何でこのように感じるよう至ったかは、過去のブログ記事を読んでいただけると分かると思う。そもそも、このブログをわざわざ読みに来てくださる方は、単なるカヤックやゲレンデの情報収集だけではなく、一人のカヤッカーとしての心の動きにも興味があるようで、その辺りのことはやはり書いておく必要があると思う。

 と、ここまでが本日の長い前置き(笑)

 いろいろと冒頭にネガティブなことを書いたけど、カヤックの旅は得ることがとても大きなものであることには変わりがない。それは確かだ。 

 

 

 

 今回はアルピナ1−450に乗った。このカヤックに乗るのは2年ぶりになる。組み立て方を忘れていないか心配したがそんなこともなく、体が覚えていた。シングル艇は組み立てるのが楽だな。ただやっぱり、低ボリュームのためか、1次安定性は低く、乗り降りの際は要注意だ。これ、毎回書いているな。

 組み立てが楽と言ってもやはりそれなりの作業なので、組みあがるころには汗をかくほどになる。しかし、まだ水温は低いのでウェットスーツを着込む必要がある。沈して長時間水に浸かると低体温症になってしまう。琵琶湖を漕ぐ場合、パドルフロートを常備しているけど、いざという時、再乗艇出来るかな。パドルフロートを使った再乗艇訓練は、随分前にしたきりである。暑くなったらまたやっておいた方が良さそうだ。

 僕はパドルリューシュで、パドルをカヤックに固定しているけど、それでも予備パドルを常備している。どこかのブログで、沈した時に1組しかないパドルを手放してしまったという内容の恐怖体験を読んだためだ。破損してしまうこともあると思うし。

 カヤックを始めたころは、ただただいろんなことが新鮮で楽しいことだらけであったが、いろんなことを経験したり見聞きしているうちに、用心深くなっていくのである。後になってから振り返ってみると、あの時は、無謀なとをこしていたのだなと感じることがある。これはどんなことでも一緒だけど。

 さてさて、心の内面の旅はそろそろこの辺りにして、安曇川河口だ。(やっとか。)

 



 

 実はここ、近江今津駅から近江高島駅まで電車を使って漕いだ時と、沖の白石へ行った時に、漕いだことがあるんだけど、丹念に岸辺の状況を見て漕いだわけではないので、ほぼ初めてと言ってもいい。訪れたことがある場所でも、視点が変われば別の体験になると言ってもいい。カヤックショップのツアーでは、「安曇川ジャングル」と呼称されているらしい。A地点からB地点までを一気に漕ぎ進む旅は達成感があるけど、季節を感じながら丹念に風景を探っていくのもカヤックの醍醐味であると思っている。

 この日の天気は薄曇りで、午後から晴れ。空を見上げる方角によって、雲がかかっていたり晴れていたりする。風はほぼなく、波もない。比良の山峰を一瞥し、まずは、北流を漕ぎ上ってみる。河口付近は水深が浅いところと深いところが複雑に入り組んでいる。川の中は琵琶湖に比して閉じた空間であるためか、入ってしまうととても静かだ。ごく近くで発生する水鳥の鳴き声や、魚が飛び跳ねる音がするくらい。琵琶湖は、湖水や大気の動き、たまに通過する動力船の音等が作り出す、巨大なモノの動きを常に感じるのだ。

 北流の散策をし終えた後、水筒がないのに気づく。うっかり出艇地に置き忘れたようだ。カヤックの準備が出来ると、一刻も早く水上に出たい気分が逸り、過去にもいろんなものを忘れたことがある。水筒はちょっとだけ値が張るサイクリング用ボトルのため、まだ大して進んでもいないので、戻ることにする。草むらに転がっていたのを確認して、すぐにまた本来の場所を漕ぎ進む。


 

 

 「びわ湖こどもの国」の湖水浴場でカヤック体験教室をしているのを横目で眺めつつ、クリークに入ってみる。おそらくカヤックツアーで案内される場所は安曇川南流河口の南なのだろう。

 大げさに書くと、「もののけ姫」に出てくる森のような感じ(笑)

 樹林と湖の境界が曖昧で、水位や季節によってその表情を変えるのだろう。今は新緑の時期なので、萌え上がる緑が湖面に映り込みゆらゆらと揺れている。流木や倒木が造形美を醸し出している。

 こうしたクリークを漕いでいると、水上に生えている葦や砲慮う側から「バシャバシャ」という音が聞こえてくるが、鳥なのか魚なのか動物なのかまるで正体が分からない。それ以外は、たまに小魚が跳ねる程度で、とても静かで穏やかな空間である。新緑の時期とは言っても、立ち枯れた葦も残っていて冬の名残も同居している。

 この風景を陸地から見れたとしても、カヤックから見た時と同じ気持ちで見ることは出来ないと思う。景色を見た時の気持ちというのは視覚情報のみに依拠しているわけではなく、もっと総合的な体験である。地面に立っているのと、船体布から伝わる水の感覚を受け止めながら、水面間近の空気を吸いこみながら見る景色はやはりどこか違って感じるのだ。

 この景色は今日だけのもの。明日には木々の芽はもっと伸び、天候も水位も変化する。

 

 

 

 いくつかのクリークを楽しんだ後、昼食にする。今やカヤックの旅の定番となりつつある「焼き鯖寿司」を、流木の大樹をベンチ代わりにして食べる。これ、マキノの道の駅で買ったんだけど、とても美味しい。

 この日、見るべきところはだいたい見終わったので、岐路に着く。2時ころから風が強くなり始めることが多いので、琵琶湖ではそれまでに上がっていたい。

 平成から令和に改元されたということで、テレビの街頭インタビューで新時代の抱負を語る人たちが放送されていたが、自然相手の趣味をしていると、いつの時代でも季節の移ろいは同じであるのに、元号が改まったということで人は心機一転出来るものだろうか。年年歳歳花相似たり。。。

 

 

 

 安曇川南流の河口付近で、遠くからパドルを動かして南進して近づいてくる一艇のカヤックが見える。琵琶湖はカヤックのメッカ的な感じだが、こんなふうに湖上で誰かに会うのは珍しい。出で立ちを見るに、本格的にカヤックの旅をしてそうな方に見える。すれ違いざまに挨拶をし、少し話してみることにする。京都在住のNさん(仮称)は、湖西線を利用してキャンプツーリングを楽しんでおられるとのこと。過去に白髭神社近辺で強風に見舞われ戻れなくなり、沖島まで行かれたことがあるそうだ。僕も湖北で天候が急変し、かなり怖い思いをしたことはあるけど、そこまでの経験をしたことはない。Nさんは坦々とその時のことを話してくださったけど、メンタル的にタフなのだろう。僕の方がカヤックの年数は長いようだが、Nさんの方が深淵を覗いている気がする。

 結局、そういった経験をしながら続けていくか、やめてしまうか、あるいは自らを失いやめざるを得なくなるのか、カヤックに乗るというのはそんな行為なのだと思う。

 

 

 

 Nさんは、比良の山峰に向かって右に左にパドルを動かして、やがては判別できないくらい小さくなった。またいつかどこかの水上でお会いできますように。

 予定通り2時頃、岸に上がった。この日は3時間で移動距離は9キロほど。

 なんだかカヤックに乗るのが楽しくなってきた。

 

長良川2018春

 今年はまだ4月だというのに、真夏日が続く。桜の開花も早かったし、今頃は藤が見頃であるはずなのに、もう散ってしまっている。こんな気候だと、カヤックに乗らなくてはならないような気になって來る。そんな気になったのは、数日前で、昨日の朝までは、電車を使って湖西を漕ごうかと思っていた。

 

 昨日の夕方、長良川沿いの竹林広場公園を散歩した。鬱蒼と茂る竹林の麓には、シダの若葉やハルジオンの花が咲いている。そこを抜けると、長良川の畔に出る。そこで長良川を見たせいか、急に長良川を漕ぎたくなった。

 

 

 9時ころに、千鳥橋付近の河原に着いて、カヤックの組み立てを始めていると、外国人とおぼしき釣り人の男女が、僕がカヤックを出そうとする場所で、ルアーフィッシングを始めた。余程、釣り人と相性が悪いのかな。まあ、それはいい。今回は少しカヤックを担いで、上流に行けばいいだけだから。

 

 

 

 

 ここまで書いて、後日、ブログを書こうと思い、放置して置いたら、この日に思ったことや感じたことを忘れてしまった。やっぱりすぐに書かないといけないなあ。

 

 流れがある川というのは、一旦、流れの早い瀬に突入すると、パドルである程度の進行方向は調整することは出来るのだが、流れに任せて進むしかない。水深が浅い場所で、水面下に隠れていて見えない岩に激突したらどうなるんだろうと思いながら、毎回、長良川を下っている。幸い、そういう事態になったことはないのだが。。

 そういう場所ではダッキーが適しているんだろうけど、僕が漕いでいるこのコースは前半は瀬が多いけど後半は瀬がない。なので、ファルトでいいんだろうなあ。

 

宮ヶ浜

 この日、近江八幡の水郷を漕ぐ予定だったのだが、いつもの出艇場所ど真ん中に、ヘラブナ釣りのおじいさんが、陣取っていた。

すぐ横から、カヤックを出してもいいかと尋ねたが、ダメだと即答された。本来なら、ダメだと言われる筋合いもないのだが、そこで揉めても仕方がないので、宮ヶ浜へ移動した。

 

 ここは、何度も漕いでいるので、今さら書くこともないけど、まだ3月も終わりだというのに、カヤックをやっている人を3組も見た。

 

 

 思い返せば、カヤックを始めたのは2010年の初夏だった。今年で8年目。いろいろあった8年間だったなあ。

温かくなってくると水辺に足が向くようになる。今年は何回漕げるだろうか。

 

 

 

 

 この日の宮ヶ浜の水の色はこんな色。

 

 

 

水郷2017

 近江八幡の水郷の葦原が金色に染まったら、年内に一度はここに来ないといけない。

 寒くなってくる時期でもあるので、動くのが億劫になり、家でぬくぬくしていたいのだが、そんなことではいけないと思い、今年もここを漕ぐことにした。

 そんなふうに思うなら、家でぬくぬくしていればいいのにと、思われるかもしれないが、そういうわけにはいかない。なぜなら、ここを漕いだ後は、来て良かったと後で思い返すことが出来るからだ。

 家でぬくぬくと過ごしたいると、その日のことは日常に埋没してしまい、記憶に残ることはない。

 

 

 いつものグランド横に車を駐車したら、先客の車が1台駐車してあった。屋根に、カヤックを固定するレールが装着してあるので、リジッドに乗っている人なのだろう。僕の知らない人だな。

 

 カヤックを組み立てて、いつもの場所から出て、いつもの水路を通り抜ける。少し開けた場所に出ると、遠くの方に青いカヤックが見えた。この日は風もなく初冬にしては暖かな日だったので、陽気に誘われて水辺の旅を楽しんでいるのだろうか?

 どんな人なのか、近寄ってみようと思い、パドルを進めていると、その人もこっちに近づいてくる。近くまで来て、挨拶もしたのに、一瞬では気が付かなかった。何て非礼な。昨年、ここで偶然、お会いしたNさんだった。その後、今年のGWにも、沖島一周でご一緒いるのに、カヤックに目が行って分からなかったとは。

 

 実は前日、フェイスブックのカヤックのコミュニティに、僕がここに来ることを書き込んだのを見て、来てくださったとのこと。僕が書き込んだのは、日常に埋没しないように、ここに来るため。Nさんも、寒くなったし、何かのきっかけがないとなかなかカヤックをしようという気になれず、同じような気持ちでいたところ、僕が書き込んだのを見て、ここに来てくださったらしい。

 

 

 

 Nさんは、僕と合流する前に、1時間ほど水郷の中を漕いだとのこと。僕に同行して同じところを漕いでもらうのは、心苦しかったけど、付き合ってくださるようだ。この日は、西の湖のような広い景色を見るのではなく、水郷の迷路の中を漕ぎたかった。

 鴨類を中心とした渡り鳥が、水郷の葦原のあちらこちらに潜んでいて、カヤックが近づくと、驚いて飛び去って行く。それを何回も繰り返しながら、漕ぎ進むのだが、飽きることのない行為だ。

 

 葦で囲まれた水路を漕いでいると、繁った葦の合間に、ベンチが設置してある場所がある。水郷周て辺の陸地を歩いたことがないので、このベンチに座るには、どの小道を歩けば、たどり着けるのだろうかと思う。

 

 この日は、2時間ほど水上をウロウロした。またいつか、きっとここに来よう。