〜カヤックで琵琶湖を旅するブログ〜
中秋のマキノ

 夏の間、すっかりカヤックから遠ざかっていた。琵琶湖で一番お気に入りの場所のマキノで漕ぐ事にした。

 

 

 もう10月の終わりだというのに、今年はいつまでも週に何日かは夏日が含まれている。それでも、湖水はやはり夏のものではなく、パドリングシューズやロングジョンの内部に入り込んでくるとひんやりと感じる。

 

 湖畔には、まばらに人がいるだけで、カヤックに乗っている人とは出会わなかった。ほんのちょっと沖に魞が設置してあって、そこで作業をしている方がいた。

 

 


 昼食は、途中の道の駅で買った鯖寿司を食べる。かなり贅沢なランチだ。カヤックに乗る日は、組み立ててから撤収するまではカヤックから離れることはほぼない。

 

 湖岸の木々が紅葉し始めていた。本格的な紅葉シーズンもうもうすぐ。

 

 今までは目立たなかったのに、真っ赤な鳥居と金ぴかな寺院が目に付いた。

 

 

 撤収する時に、カヤックを裏返したら、こんな出っ張りがある。何だろうと思い、カヤック内部を見てみると、

 

 フレームが外れていた。これは、組み付けるときに外れたのか、カヤックを運ぶときに外れたのかよく分からない。あまり気持ちの良い状態ではないので、今後は確認する必要がありそうだ。場合によっては部品交換をしよう。
 

 

 

 

和邇から蓬莱


 ゴールデンウィークの晴れた日、湖西のお気に入りのコース、和邇から舞子浜まで漕ぐことにした。カヤックに乗るときは事前に天気予報、とりわけて風速はよく確認するようにしている。風も穏やかで空も青くて、気持ちの良い一日になりそうだ。



 
 いつもどおり、和邇浜へ荷物を降ろしてカヤックを組み立てる。

 例年、ゴールデンウィークからロングジョンは着込まない。でも、カヤックを水に浮かべ、乗り込もうとして足を水に浸すと水温が予想よりも低い。カヤックを組み立てている間はとても暑く感じられるのだが、沈した場合、低体温症を心配しなくてはならない。こんなことなら、ロングジョンを車に乗せておけば良かったとちょっと後悔する。



 和邇浜からしばらく漕いでいると、東からのうねりが大きくなってきた。常に横波を受けて漕ぐことになるので、気を使う。そのうち収まるかもしれないという希望的観測の元に、しばらく漕ぎ続けるが、一向に状況は変わらない。ロングジョンを着込んでないから沈したくないので、蓬莱駅近くの浜辺に上がって様子を見ることにする。
 
 昼食を食べながら、湖面を観察し続けるが、うねりの状況は変わらない。次の駅まで漕ぐか、ここで撤収するかの選択に迫られる。今日はまだ30分しか漕いでいないのに。。。
 試しに、もう一度カヤックに乗り込んで漕いでみたが、すぐに諦めた。怖々、漕いでいても楽しくない。駅が近くにあるこの浜で今日は終わりにしよう。




 ほとんど風も吹いていないのに、このうねりの大きさは何だろう。

 帰り際、湖東の湖岸道路を運転中、琵琶湖を見ると白波が立っていた。湖東では風が吹いているのだろう。湖東で発生した風浪が湖西にうねりとなって押し寄せていたのだ。

 ファルトボートは、とかく準備と撤収に時間がかかるので、漕ぐ時間が少ないと悔しい気分になるが、状況が許さないのに無理に漕ぐと危険であるし、そのような楽しくない状況で漕ぐと、禍根を残し、しばらくはカヤックに乗ること自体が嫌になってしまう。そんなわけで、こういう時は早々に撤退するのがいい。

 自然が相手なのだから、こんな日もある。
海津大崎お花見カヤック2016


 「水ぬるむ」は、春の季語である。そうは言っても、まだまだ水温は低い。つい先月、湖西でカヤックの遭難事故があった。その同日、僕もカヤックを予定していたが、天気予報を見てあまりの風の強さに中止にした。何かあったら、すぐに中止にしてしまう。天候はもちろんのこと、ウェアや装備品を自宅に忘れてきたり、眠かったり。。。。エトセトエトセトラ。。。
 そんなわけで、カヤックツーリングが出来るのは、条件が整った時だ。遭難した人は、なぜあんな日に湖上に出たのだろう。

 湖北の桜の開化は、カヤックシーズン到来のシグナルだ。冬の間、代わり映えのしなかった風景が、この時期から急に変化し始める。桜が散ればすぐに若葉が芽吹き、あっという間に温かくなる。

 海津大崎のお花見カヤックは、JR永原駅横の大浦川から漕ぎ出し、マキノで上がるのが僕のお決まりのコースになっている。この日も大浦川の川辺に到着したら、既に1艇のカヤックが漕ぎ出して行くところだった。僕たちが組み立て始めて程なく、2人組みのアルフェックのカヤッカーが到着し、組み立て始める。この日は、この2人とほぼ一緒に漕ぐことになる。




 大浦川河口付近の集落。桜をゆっくり眺めて撮影する最初のポイント。同じところを何度も漕いでいると、行動がパターン化してくる。






 琵琶湖に出て竹生島を望む。湖面が荒れてなくて良かった。この辺りの湖岸道路は、まだ人がまばらだが、マキノに近づくにつれて花見客が増えてくる。

 示し合わせて一緒に漕いでいるわけではないが、先ほど永原駅で出会った2人が近くにいる。定置網の魞のロープをくぐるのに、協力し合ったりして漕ぎ進む。




 湖上から桜を見ると、まず自分の前に水面があって、その向こうに桜花が咲き乱れる陸地が背景として存在する。陸上から見る景色は、その逆になる。たったそれだけのことで、気分は随分と変わるものだ。





 この日は、花曇り。遠くの景色はぼんやりと霞んでいる。






 ここは海津大崎のほぼ先端。いつもここで昼食にしている。今回もここで休憩する。さすがにこの辺りまで来ると、人が多くなってくる。カヤックツアーの団体さんも、漕いでいる。おそらく今年はこの土日が最も賑わう日なのだろう。観光船の往来もひっきりなしに続いている。そのためか、Y君は観光船の作る波で、上陸に苦労している。僕も同じ状況で、降り沈した経験がある。





 この海津の集落まで来ると、本日の行程も終わりに近い。久しぶりのカヤックのせいか、腕が疲れてくる。
 しばらく漕がない期間が続いていたので、カヤックの楽しさを忘れかけていたけど、今日ですっかり思い出した。これから季節は温かい方向へ向かうので、またすぐに水辺に出たくなってくる。

  
 
マキノ




 このブログのサブタイトルが、〜カヤックで琵琶湖を旅するブログ〜なのに、琵琶湖を漕ぐのは今年に入って初めてになる。アルピナ1−450を一年ほど使用していないため、そろそろ乗らないと、組み立て方や感覚を忘れてしまう恐れがある。それに、アルピナ2−430は使用回数が多いけど、一度も沈したことはないが、アルピナ1−450は、沈経験がある。水温が冷たくならないうちに、乗っておかないといけない。

 そんな理由もあるけど、秋の穏やかな湖面を漕ぎたくなったのだ。実は2日前にも琵琶湖を訪れていたが、風が強く波があったし、ロングジョンを自宅に忘れてきたため、漕ぐのを断念した。

 いつものマキノの浜辺に到着し、12時前に水上に出る。毎回のように書いているが、やっぱり乗り込むときはアルピナ1−450は、おっかなびっくりだ。慎重に乗り込まないと乗り沈してしまう。

 出艇した浜辺には、子猫の死体が横たわっていた。水辺では、いろんな動物の死体が横たわっているのを見るが、気持ちの良いものではないので、少し離れ場所からカヤックを出した。



 この日は風も弱く、秋にしては暖かい日だった。そのせいか、スカッと抜けた青空に白い雲が映えるといった空模様ではなく、湿度が高めでどことなく霞がかって、遠景がぼんやりと見える。

 



 夏の間、あんなに賑わった浜辺もこの季節は人がまばらだ。夏の喧騒はどこかに消え去ってしまい、虫の鳴く音とトンビの会話するような鳴き声が聞こえるだけだ。







 1時間ほど漕いで、昼食にする。この日の昼食は豪華で、焼き鯖寿司を途中で買ってきた。いつもなら、おにぎりの昼食なんだけど、たまにはこういうのも悪くない。滋賀名物の丁稚羊羹も買った。焼き鯖寿司も丁稚羊羹も竹の皮で包まれている。丁稚羊羹は安くて旨い。一本220円で、マイルドな甘さなので、丸々一本食べれてしまう。







 ここに来ると知内川を遡ってみるのが習慣になっている。浅い川なので、船底が擦るようになるので、少しの距離を漕ぐだけで進めなくなってしまう。河口右岸にあった木が切り倒されていた。知内川の河口は、土砂が堆積して浅くなっている。口というよりは、門のようだと感じる。






 水深が浅いせいか、川面の波が光を屈折させて、川底に模様を作り出している。絶え間なく変化する様は見ていて飽きない。
 時折、小魚の大群が、カヤックの下を通過していく。







 直接湖水に触れると、自分と湖が繋がっている気分になる。

 夏の湖水のぬるさも冬の冷たさも、必ず確認せずにはいられない。


 
  





 3時近くになってもこの日の琵琶湖は穏やかで、民家から、ピアノの音が聞こえてくる。曲目は「でんでんむし」。小学生の子が弾いているのかも。

 湖面に青空が映りこんでゆらゆら揺れるのが美しい。





 この季節は、3時を過ぎると既に夕方の様相であり、影が長くなる。

 浜辺沿いに行ったり来たりして8.8キロ漕いだ。前日まで肩こりがひどかったのだが、カヤックを漕いだせいかすっかり良くなった。



夕刻のマキノ



 気分が憂鬱になるほど長雨が続くこともなかった今年の梅雨だったが、それでも梅雨明けは嬉しい。午後から時間が出来たので、少しだけでも水に浮きたいと思い、Y君と琵琶湖へ出かけた。







 この日の艇はアルピナ1−450を使った。この艇に乗るのは5月の日生以来となる。組み立てる前にベトナム笠を被り、琵琶湖の生ぬるい湖水でひと泳ぎして体を濡らす。これで、カヤックの組み立てをするのに体の熱が下がるので多少は楽になる。

 30分くらいで準備が終わる。Y君の準備が終わるまで、近辺を漕いだり写真を撮ったりして時間を過ごす。この日は、ベタ凪だ。僕にとって最高のコンディションに近い。大きな厚い雲が近辺にあるのが気になるが、この日は遠くへ行くわけではなく、マキノ近辺で浮いているだけというのが目的なので、途中で天候が急変しても構わない。






 
 学校が夏休みに入ったせいか、浜辺は人であふれている。それを眺めながら、少し沖を知内川に向かって漕ぐ。湖面が穏やかなので、スイスイと進むのが気持ち良い。






 先ほどの大きな雲に太陽が隠れて、薄暗くなり、雲間から漏れた光が湖面に落ち、ドラマチックに反射する。

 いつもどおりのことだが、知内川河口は、魚影が濃い。それを確認するとなぜだか安心する。その後、スタート地点へ戻ることにする。この季節は夕方に少し漕ぐのがいいなあ。 

新緑の和邇から近江舞子



 桜もすっかり散ってしまい、季節は初夏に入ろうとしている。新緑と湖岸の町並みを眺めながらゆっくりと漕ぎたいと思い、ここへ来た。

 和邇から近江舞子区間は、僕が始めて電車を利用したカヤックツーリングを行った思い出深い場所でもある。あれからもう3年になる。

 この日もカヤックはアルピナ1−450ハイブリッドを使用する。和邇に9時に到着しカヤックを組み立てる。カヤックそのものを組み立てるのは20分もかからないのだが、荷物を詰め込んだり予備パドルやGPSロガー等の装備品を装着しているとそれなりの時間がかかってしまう。
 それでも目の前の穏やかな湖面に一刻も早く漕ぎ出したくて、気持ちが急くため、とにかく手早く用意するのだ。この季節でも、用意だけで汗だくになる。

 いったいいつになったら、のんびりとした心持で準備出来る余裕のある精神的な骨格を獲得出来るのだろうか。
 
 



 周囲に忘れ物がないか確認し(ここ重要)、10時前に出艇する。いつでもそうだが、漕ぎ出す瞬間はえも言われぬ高揚感に包まれる。

 僕の場合、琵琶湖をカヤックで旅する時に、一日で漕ぐ距離は10キロから15キロの間を、3−4時間かけて漕ぐのが理想的なペースである。自宅から琵琶湖に到着するまでの時間や、準備の時間、体力的な問題や琵琶湖が荒れだす時間帯、それらを考慮すると、そうなるのだ。

 この日から長靴はやめて、パドリングシューズにした。出艇準備で体が熱くなったが、足元を冷やしてくれるため心地よい。インナーにロングジョンを着込んでいるので、膝まで浸かっても冷たさが継続しないのでまったく問題ない。





 比良の山峰には、少しだけ残雪が確認出来る。この季節は残雪に冬の名残を、温む水に春を、新緑に初夏を、日差しに夏の気配を感じる。季節の狭間ならではの感覚だ。

 湖面が穏やかなので、力いっぱいパドルを動かしてみる。すると、おもしろいほどスピードが出て、グイグイと進む。でも、ずっとそんな調子で漕いでいるわけにもいかないので、ダラダラ漕いでみたり、手を止めて休んでみたりして進んでいくのだ。

 


 手袋を外し水中に手を入れて、この季節の琵琶湖の水を感じてみる。何かと触れ合うのなら、手袋ごしではなく直接触れてみたいと思うのだ。でも、豆が出来ると困るので、パドルを掴む手は手袋ごしなんだけど。

 理由は、よく分からないけど、一人で漕いでいる時には、なぜか水戸黄門の「じ〜んせ〜い。。。。」の歌が脳裏に浮かび、そのリズムでパドルを動かすことが多い。このブログの読者は知っていると思うけど、僕はすぐにいろいろな問題で「くじけやすい」性格である。以前、友人が、そんな僕に、

「水戸黄門が言ってるやろ?くじけてたら、誰かに追い越されるんやで。」

と、言われたことがあるが、

「水戸黄門が言ったわけではないやろ。それに、追い越されても、俺は構わん。」

と言って、友人を辟易させたことがあった。

まあ、年齢を重ねるといろいろな思い出が積み重なるものなのだ。湖面に浮かんで自分と対峙しているといろんな記憶がが甦るのだ。

 これを読んでしまった人は、次にカヤックに乗るときは、水戸黄門のテーマソングが脳裏でリフレインするに違いないと思います。






 琵琶湖には大小様々な大きさの定置網の魞(えり)が存在している。カヤックを漕いでいると、魞に遭遇する度に、

1 沖へ出て回避する。

2 岸辺近くで手で綱を持ち上げて潜る。

3 そのまま綱の上を通過する。

の中から選択しなくてはならない。状況に応じて、その都度、最適な方法で通過している。
巨大な魞だとかなり沖へ出なくてはならないので、危険が伴うため「1」は却下。
「2」は、バランスを崩して沈の可能性が高い。
「3」は、一番手堅い方法だが、綱のしなり具合をよく見極める必要がある。

通過の時は、頭を少しだけ悩ます魞だが、琵琶湖の風景には必要不可欠なものだ。「魞挿す」は季語にもなっているくらいなので、琵琶湖と魞は、縁深いものなのだ。魞がない琵琶湖は、想像できない。




 パラグライダーが次から次へと降りてくる。

 このブログを書くのは、正直面倒くさいが、でもそれは書き出すまでのことで、一旦書き始めるとそうでもなくなる。書きながらもう一度、旅が出来るのだ。
 



 12時になったので、昼食を取るために古い集落の石積みがある浜辺で上陸する。惣菜屋で買ったおにぎり2個とアジフライ。20分ほど休憩して、またカヤックに乗り込む。






 まだ芽吹いて1,2週間だろうか。この時期は新緑が美しいなあとつくづく思うのだ。近江舞子が近いせいか、砂が白い。

この日は、魚をたくさん見た。小鮎、ハス、ブラックバス。それ以上に、釣り人もたくさん見た。





 この日、ユリカモメをたまに見かけたが、夏羽に変化している個体が見受けられた。






 この日のゴール地点。近江舞子へ1時頃に到着。ここの白砂と水の透明度はとても美しいと思う。松林特有の良い香りも漂ってくる。遠景がぼんやりとして、雲の形がはっきりとしないのを見ると、春だなあと思う。

 白砂の松林の木陰で、のんびり出来ればいいのだが、すぐにカヤックを分解してザックに詰め込む。冷たいジュースが飲みたくなり、自動販売機を探す。しかし、自動販売機はたくさんあるけど、どれも休止中。近江舞子が客で賑わう季節にはまだ早いということか。

 近江舞子は電車の本数は多いのだが、ここもエレベーターがない。可及的速やかにエレベーターを設置してください。





 誰も乗っていない車両。進行方向の左側の車窓から、この日漕いだ琵琶湖が見える。和邇駅は、エレベーターが設置してあるので、楽だった。

 漕いだ距離は10キロ。またいつかここへ来よう。

 
海津大崎で花見カヤック



 今年もスケジュールをやりくりして、海津大崎の花見カヤックを漕ぐことが出来た。カヤックに乗るのは、4ヶ月ぶりになる。やはり陽射しが温かくなってくると水辺が恋しくなる。

 この日は、アルピナ1−450ハイブリッドを使用する。450に乗るのは昨年の安曇川扇情地帯を漕いで以来なので、半年ぶりとなる。1次安定性が低いので、カヤックの乗り降りには注意しなくてはならない。

 8時半頃、いつものごとく永原駅に到着する。天気は曇り。数日前まで、この日は雨が降る予報が出ていた。曇りでは桜の色と周囲の風景のコントラストが映えないので最高のコンディションとは言い難いが、それでも花見カヤックが出来ないよりはいい。

 大浦川の出艇場所には、フジタカヌーのリジッドカヤックの二人組みの男性が、準備をしておられたので、挨拶をしつつ、僕もカヤックを組み立てる。彼らは前日に海津大崎を漕いで、この日は菅浦へ向かうとのこと。

 カヤックの組み立て途中に、永原駅から海津大崎に花見ウオーキングに行くと思われる関西のおばちゃん達20人くらいに囲まれて、いつもよく聞かれる質問に答える。どこまで行くのか?どうやって運ぶのか?いくらするのか?

 実はこの日、日常生活のストレスが溜まっていたので、カヤックに乗って気分を変えたいと思っていたのだ。そういう精神状態の時に、旅先で見知らぬ人と罪のない会話をするのは心が和む。

 フジタカヌーのリジットのお二人を見送った後、忘れ物をした事に気付く。パドルフロートとビルジポンプを持ってくるのを忘れた。そんなわけで沈してもすぐに上がれるように岸ベタを漕ぐ事に徹することにした。敢えて、徹しなくても一人で沖へ出るのは怖いのでいつもほとんど岸近くを漕いでいるのだけど。
 ビルジポンプはなくっても、人工セーム革と水を艇内から掻き出す容器はいつも持参しているので、それは問題ない。(大阪の鶴橋で買ったキムチが入っていた容器なんだけど、もちろん臭いが残らないように洗ってある。)

 準備が整ったので、9時30分に出艇する。いつものごとく、大浦川は静かだ。天候が曇りで少し気温が低く肌寒いためか、春の陽気は感じられない。枯れた葦の風景等、まだ冬の名残があちこちに残っている。






 ここはいつもの撮影ポイント。大浦川は河口近くになると両岸に集落が見えてくる。人の生活が感じられる水辺は、とても癒される。こんな光景の中を一日中、漕いでいてもいいのだけど、大浦川はこの辺りで琵琶湖となるため、川くだりはここで終わり。

 理由は分からないけど、この辺りからカメラの調子が悪くなる。突然、2EVほど露出オーバーの写真しか撮影出来なくなる。RAWではなく、JPEGで撮影してみるとそれは改善されたが、理由は分からないまま。曇りなので、撮影には適した条件ではないので、JPEGで我慢して撮影することにする。

 1時間ほど漕いだので、陸に上がり、熱いお茶を飲みながら休憩することにする。さすがに、桜の名所の日曜日なだけに、湖岸は花見客が多い。観光船も大小様々な船が行き交っている。
 短い休憩の後、カヤックに乗り込もうとして右足をカヤックの中に入れた瞬間、観光船の作る波が押し寄せてカヤックが暴れて、僕の体にぶつかるような形になり、転覆してしまった。僕自身は腰まで水の中に浸かってしまった。花見客が見守る中、転覆したカヤックを元に戻して、艇内に入った水をキムチ容器で排水する。花見客に、大丈夫ですか?と尋ねられたが、

「濡れるのが前提の遊びなので、これは普通ですよ。(でも、僕的には始めての事故ですけど)」

と、強がってみる。シーソックを装着していたので、浸水はそれほど多くはなかった。ウェアリングは、ホットカプセルとロングジョン、ネオプレーンのソックスの上に長靴であったためか、寒さは感じなかった。濡れた瞬間、水が冷たかったのだが、数分もすれば大丈夫だった。

 正直なところ、僕にとってこれは初沈だったりする。沈なんかしたら精神面が悪化してその日のツーリングは楽しくなくなると予想していたが、今回は違った。先ほども書いたが、日常のストレスを溜め込んでのカヤック行だったのだが、この沈でストレスが飛んでしまったくらいに感じた。

 この日は、それ以降、楽しい気分になってくる。残り6キロほどをゆっくり漕ぐことにする。




 先ほど沈した時に、カメラを濡らしてしまったようで、レンズの内部に水が入り込み、まるでフォギーフィルターをかけたような写真しか撮れなくなってしまった。この日のツーリングはカメラにとっては受難続きである。防水カメラを使えばいいのだけど、どうしてもRAWで撮影したいという理由がある。RAWで撮れる安価で高性能な防水コンデジがあればいいのだが。

 さらに1時間ほど漕いだ後に、昼食のために上陸する。先ほどの沈で昼ごはんが濡れていないか心配だったが、意外にも大丈夫だった。シーソックのおかげだ。流木に腰かけて湖面を眺めながらおにぎりを食べていると、20台くらいの水上バイクに乗った人たちがその浜に上がってきた。水上バイクの調子が悪いらしく、調整のために上陸したようだ。さわがしくして申し訳ないという旨の挨拶を丁寧にしてくれて恐縮した。

  海津大崎の先端は岩礁地帯になっている。岸沿いに漕いでいると、岬を回りこむようにして進むことになるので、先の見通しが利かない。そのため、観光船と衝突しないように気を配らなくてはならない。この季節の観光船は、乗船客に桜を見せるために、出来るだけ岸に近付こうとする。こちらも岸沿いを漕いでいるため、どうしても観光船との距離が近くなってしまうのだ。

  マキノの高木浜へ到着し、撤収する。マキノ駅は海津大崎の花見客であふれていた。それにしてもマキノ駅も永原駅もエレベーターを設置してほしいと切に願う。特に、永原駅は階段がとても長い。永原駅でカヤックを車に詰め込んだ後、帰宅するが、途中で朝、永原で会ったフジタカヌーのお二人を見かけた。この日漕いだ距離は11キロ。

 毎年、同じ季節に同じ場所を漕いでもそこで出会う人たちや、引き起こされる出来事は同じではない。来年も桜の季節にまたここに戻ってこよう。


 
和邇から比叡坂本


 琵琶湖の西側は、琵琶湖に沿ってJR湖西線が通っているので、電車を利用したカヤックツーリングには絶好の場所だ。琵琶湖の東側を縦断しようとすると、駅が湖岸から離れているため、電車を利用したカヤックツーリングは困難だ。そんなわけで、今回も湖西を漕ぐことにする。

 今回は、計画段階で見誤ったため、漕ぐ距離が伸びてしまった。和邇駅から距離を計測しなくてはならないのに、一駅間違えて小野駅から距離を計測して、漕行予定距離を決定してしまったのだ。そのため、計画よりも漕行距離が伸びて時間的にも肉体的にも少しきついツーリングになった。単独で初めての場所を漕ぐときは、ある程度、計画や下調べが必要だ。それとは逆に、何度も行っているようなマキノでカヤックに乗って浮いているだけといった、まったりとした楽しみ方であれば何の計画もいらない。どちらが充足感を得られるかというともちろん前者だ。後者のスタイルもそれはそれで捨てがたいのだが。

 計画段階で漕行距離は10キロ程度だと勘違いしたため、カヤックはアルピナ2−430で、写真を撮りながらゆっくりと漕ぐつもりであった。いつもは、コンパクトデジタルカメラを使用しているが、今回は中判フィルムカメラと、デジタル一眼レフを使用した。デジタル一眼レフには、PLフィルターを初の試みで装着してみた。

 10時前に準備が整い、水上に出た。10月の中旬だというのに、今年はまだまだ暑い。それでも、カヤックに乗り込むときに、膝の辺りまで琵琶湖に浸かった足から、ひんやりとした冷たさが伝わることで、季節は秋であることを伝えている。





 出発してすぐに、大きな魞がある。近づいて写真を撮ったり、魞を補修している漁師さんの作業風景を眺めたりして過ごす。カメラにフィルムを入れたり、フィルターを交換したりしていると、いつのまにかカヤックが流されているのに気が付く。アルピナ2−430は、そんな状態でも気にならない安心感がある。アルピナ1−450は、低ボリュームであるため、足元に荷物を置くスペースがないし、1次安定性がアルピナ2−430に比べて低いので、下を向いてちょっとした作業をするには不安がある。漕ぐことに徹する時は、アルピナ1−450の方がいいのだが、1艇でそれを両立させるのは難しいのだ。だから2艇、所有しているわけなんだけど。




 先ほどの魞の周辺の散策に、時間を費やし過ぎた。水上に出て1時間経過したけど、あまり進んでいない。でも、浜辺があったので、上陸して5分ほど休憩する。わずか5分でも、体を伸ばす事が出来るので、かなり楽になるのだ。


 今年は、いつまででも暑いせいか、例年のこの時期よりも渡り鳥の姿が少ないような気がする。今回漕いだ区間は、アオコの残骸が湖岸に堆積していたり、浮かんでいたりして、そのエリアにカヤックが入り込んでしまうと漕ぎにくかった。接岸する時も、足がアオコの堆積物に、ズブズブと埋まっていき、気持ちの良いものではなかった。やはり都市部が近いので、この辺りの湖水は富栄養化が進行しているのだろうか。




 あっという間に琵琶湖大橋に到着する予定だったのだが、冒頭で書いた通り距離を見誤ったのと、のんびり漕ぎ過ぎたのが災いとなり、思わぬ時間を要してしまった。琵琶湖大橋を過ぎると、南湖に入る。琵琶湖は、琵琶湖大橋を境にして北湖と南湖に分けられるが、琵琶湖大橋の建造以前は、何を境界にしていたのだろう。

 この辺りは、釣り客用の手漕ぎの貸しボートが何艘か浮かんでいるが、PFDを装着していない人がいる。怖いとは思わないのだろうか?















 今回は、カメラにPLフィルターを装着して撮影したけど、絵柄が好みになれない。次回からは今までどおり、PLフィルターを使うのはやめよう。


 琵琶湖大橋の西側の辺りにある大観覧車が解体工事を行っていた。長い間、琵琶湖のランドマークの一つだったのに、なくなってしまうのは残念だ。この観覧車、今後はベトナムで使われるらしい。メコン川の畔で使われるのだろうか?もしそうなら、いつか見に行ってみたい。


 ナビで現在位置を確認したところ、ゴール予定の比叡坂本までの本日の行程のうち、まだ半分くらいしか漕いでいない。時間は1時なので、それほど時間的な余裕があるわけではない。琵琶湖が荒れ始める前には切り上げたい。堅田駅で上がるには早過ぎる。次の雄琴温泉駅は湖岸から離れるので、そこでは終わりたくない。それなら、初志貫徹で比叡坂本駅まで行くことにするか。。。。
 結局、比叡坂本駅まで漕ぐことにした。最悪、琵琶湖が荒れ始めたらその時は、逡巡することなく浜辺を探して上がることにしよう。どこの浜辺からでも、数キロ歩けば駅まで行けることだし。





 観光名所の浮御堂。ここも、いつかカヤックで来たかった場所の一つだったのだが、今一つ感動が薄い。この右下の丸い遺構は何だろう?
 前に浮御堂へ来たのは、22年前。当時はカヤックではなく、京都で学生をしていた僕は、買ったばかりの50ccのオフロードバイクで初のツーリングだったのでよく覚えている。橋はもっと長かった記憶がある。陸上から見るのと水上から見るのとでは感覚が違うのでそのせいなのかもしれない。

 ここをすぎると、漕ぐのが辛くなってくる。早くゴールに着きたい気持ちだ。琵琶の対岸との距離が近いせいか、北湖と違って、動力船が間近を通るので、引き波がが頻繁に発生して漕ぎにくい。ひたすらパドルを動かし漕ぎ進む。この辺りは、浜辺と呼べるエリアが少ない。




 

 3時ころ、新唐津水泳場に到着する。マキノや今津のような浜辺があるのかと思ったが、ここはかなりこじんまりとした浜辺で誰もいない。ほどよく雑草が生えているので、草の上でカヤックを1時間ほどかけて分解しパッキングする。ここから比叡坂本駅までは歩いて10分ほどだ。途中でアイスクリームを買い、カロリー補給しつつ、カヤックを載せたカートを引き駅へ向かった。秋の日はつるべ落としというくらいで、この時期はすぐに暗くなる。なんとか計画通りにツーリングを終えることが出来た。

 和邇駅へ到着して、車にカヤックを積み込み、帰宅途中に琵琶湖カヌーセンターへ寄った。これからの季節で使うロングジョンを買うためだ。実はこの夏に、ブルーエースのロングジョンが欲しくて探したのだが、どこの店も僕の欲しいサイズは品切れだった。幸運なことに、琵琶湖カヌーセンターには、在庫があった。試着させてもらい、サイズ的にも問題はなかった。これで寒い季節も少しは安心出来そうだ。

 この日漕いだ距離は16.4キロ。予定よりも5キロほど多い距離を漕いだ。

 
安曇川扇状地帯



 JR湖西線を利用したカヤックツーリングで、近江今津駅、近江高島駅の区間を漕ぐのは二の足を踏んでいた。近江今津駅と近江高島駅の間には、安曇川駅と新旭駅があるのだが、この両駅は内陸部に位置しているので、琵琶湖へのアクセスが悪い。そのため、今回の安曇川扇状地帯で電車を使ったカヤックツーリングをするとなると、琵琶湖に近い近江今津駅、近江高島駅の区間となるが、今までに経験したことがない距離を漕がなくてはいけない。いつもは、長距離でも15キロほどのツーリングしか経験がないのだが、今回は20キロほど漕がなくてはならない。果たして、そんなに漕げるのかという一抹の不安を抱きつつ、体力的限界や天候悪化で漕げなくなったら、駅まで何キロでも歩いてやるという覚悟をして、今回のツーリングに挑んだ。

 普段から、週に2回、毎回5キロのジョギングをしているので、カヤックを浜辺に一時的に置いて駅まで歩き、駐車場の車を取って来るのは造作もないことだ。カヤックの盗難の危険はあるけど。

 近江今津駅近くの駐車場に車を置いて、徒歩で10分くらいの今津港近くの浜辺でカヤックを組み立てることにする。浜辺にはコスモスが、穏やかな中秋の微風に花を揺らしている。中秋とはいえまだ9月、カヤックを組み立てていると汗が吹き出てくる。荷物をカヤックに積み込み、9時40分に水上に出る。






 
 やはり、興奮度が一番高いのは、水上へ漕ぎ出すこの瞬間だ。しばらく漕いでいると、疲れてきたり風景が単調になると気分がだれてくる。僕の場合、漕ぎ始めて30分くらいで疲れを感じ始めるのだが、それを過ぎると体が漕ぐことに慣れてくるせいか、腕が勝手にパドリングを続けていく。

 先ほどまでこの桟橋に定期船が泊まっていたのだが、都合の良いことに、僕が出艇する前に出航していった。大きな船の近くは漕ぎたくないので、ほっとする。それにしても、なぜ船の場合は「泊まる」という漢字を用いるのだろう。







 始めて漕ぐ場所というのは、とても新鮮な気持ちになる。それが、僕の好きな人々の生活と歴史を感じさせる風景なら、なお更だ。
 この日の琵琶湖は水量は多く濁っているけど、とても穏やか。どんどん漕ぎ進む事が出来そうだ。この調子なら近江高島まで行けるだろう。






 「吸い込み口」って何だろう。既に、こんなに近寄ってしまっているけど大丈夫なのだろうか?

 と、思いつつ、写真を撮ったら一目散に退散する。吸い込まれたら大変だ。しかし、どんなメカニズムで吸い込むようになっているのだろう。


 カヤックツーリングは安全のためにも、可能であればソロツーリングは避けた方がいいと思う。僕は望んだわけではないけど、ソロで行くことが多い。当然のごとく対話する相手が誰もいない。でも、その反面、この世界の全てが自分の中に溶け込んで来るように感じる。複数でツーリングする時は、それを同行者と分割して分かち合うものとなり薄味なものに変わる気がするが、同行者とその思いを共有するという新たな価値を生むので、その経験もそれはそれで得難いものだと思う。








 ひっそりと湖岸に佇む、和風の灯台。あれ、今津の灯台ってこんな場所だったかな。








 しばらく進むと、浮島が見えてくる。人工的に葦を育てるためなのか漁礁とするためなのか分からないけど、その浮島の周辺には、複数のこんな標識が立っている。

 何が危険なのだろうか?

 その理由が気になるところだ。










 ここにも謎の標識が。

「これより湖岸一帯は、共同漁業権漁場につき」

その続きは、なんなんだ。関係者であれば、これだけで分かるのだろうか。
共同漁業権漁場だから、勝手に漁をしてもいいのか、だめなのか、あるいは全く別の文章が続くのか。







 
 謎に包まれたまま、頭も腕も疲れてきたので1時間漕いだことだし、休憩することにする。ツクツクボウシの鳴き声が、林に響き渡っている。ツクツクボウシは夏の終わりを告げているのか秋の始まりを告げているのかどちらだろう。僕には前者であるような気がしてならない。気持ちの良い木陰でしばし休憩の後、すぐに湖上に出る。今日の行程は長いのでゆっくりとはしていられないのだ。







 単調な景色が続く。コンクリート護岸や岸辺と遮断するような物が存在している場所は苦手だ。こういう場所は、さっさと通り過ぎたい。








 ここは針江水郷へと続く水門。

 水門を潜って、針江水郷へ寄り道することにする。写真では左側の水門が開いているが、実は、向こう側の水門が閉じていて抜けることが出来ないのだ。そんなわけで、針江水郷は諦める。水門が閉まっているのは、琵琶湖の水位が高いためだろう。


 今回は、カヤックにカートを載せているのでバラストは積まなかった。今でもアルピナ1−450の1次安定性には不安がある。乗り沈、降り沈には要注意だ。でも、漕行中の安定性には慣れたせいか不安がなくなった。僕の体格は身長170センチ、体重58キロなのだが、体重が70キロくらいあった方が安定して漕げるような気がする。健康面でそれがいいかどうかは別問題だけど。









 それにしてもいい天気だ。ゆらゆらと揺れる水面と青い空、白い雲。








 また1時間漕いだので休憩する。琵琶湖は、どこでも上陸出来そうな気がするけど、必ずしもそういうわけではない。上陸出来たとしても、そこでしばらく休憩したいと思うような浜辺じゃないと上陸したいとは思わない。休憩ポイントにもこだわりがあるのだ。セルフタイマーで撮ってみた。

 わずか5分でもいいので、1時間に1回くらいはカヤックから降りて休憩した方がいいのかもしれない。以前は、4時間ずっとカヤックに乗りっぱなしということもあったけど、長距離を漕ぐときは早めに休憩した方が、疲れを軽減できるような気がする。








 安曇川の北側の河口辺り。今日の琵琶湖が濁っているのは、数日前に降った大雨で川が濁っているせいだ。

 この辺りは、日本でも有数の扇状地帯で、上空からの写真を見ると興味深い形状をしている。(LINK)
 これがもっと巨大な河川になればメコンデルタのようになるのだろう。この地帯は、安曇川デルタと名付けようか。

 「滋賀県立びわ湖こどもの国キャンプ場」で昼食にする。猛烈に冷たいコーラが飲みたかったので、自動販売機で買い、パンとおにぎり2個で簡単に済ませる。とにかく先を急がなくてはならない。ナビで、残りの距離を確認したらまだ7キロもある。昼食後、1時過ぎに水上に出る。






 ここの水門も閉じられている。水門の横から琵琶湖に流れ込んでいる水路があったが、ここには排水機があって、川の水を琵琶湖へ汲み上げているのかもしれない。僕が住んでいる岐阜県の濃尾平野は、輪中地帯で河川が多く、雨が降ると排水機に頼らないと水が流れていかないのだ。ここがそうなのかは分からないのだが。

 途中、ウインドサーフィンをやっている人に「ニイハオ」と、声をかけられる。彼は中国人なのか?それとも僕が中国人に見えたのか。







 2時30分、ゴール地点の萩の浜に到着する。何とか無事にここまで漕ぐことが出来た。琵琶湖では午後のこれくらいの時間から急に風が強くなることがあるので、2時くらいまでにはゴールしたいところだったが、30分遅れとなった。

 カヤックを乾かしながら1時間くらいかけてゆっくりとかたづける。ここから駅まではカートを押しながら歩いて20分ほどかかる。途中、街道沿いの酒屋で地酒を買い駅に向かう。




 今回利用した近江高島駅、近江今津駅はホームにエレベーターが両駅とも設置されているのがありがたい。階段を使ってカヤックをホームへかつぎ上げるのは大変なのだ。




 
 車窓から琵琶湖を眺める。電車だとわずか10分ほどの距離なのに、カヤックでは4時間の旅となる。その4時間のなんて濃密なことか。

 それにしても、水際を境にして、自分が水上にいる時と陸上にいる時とでは、感覚の鋭敏さがまるで違うような気がする。

 感動的な光景を目の当たりにしたとき、水上にいる方が、より心に深く突き刺さるのはなぜだろう。


 この日、漕いだ距離は20キロ、琵琶湖の水位は54センチ。



遠雷を聞きながら
 最近、カヤックに限らずいろいろな事が億劫になり、趣味の活動に時間を割けずにいた。せっかくの3連休だということもあり、わずかな時間でも自分を奮い立たせてカヤックに乗ろうと思いマキノへ向かった。趣味の活動なのだから、気が進まないときはやらなければいいのだが、まずは行動に移すことで気分が変わるという事を、過去に何度も経験しているからだ。
  マキノへ向かう途中、何か所か雨が降っている区間があった。この季節は局地的に雨が降るので、マキノの天候がどうなのかは行ってみるまでは分からない。もしマキノに到着して雨が降っていたら、そこまで行ったのが無駄になってしまう。もちろん、寒くはない季節なので雨でもカヤックは出来るのだが、組み立てと撤収の作業が困難になるため、自ら進んで雨の日には漕ぎたくない。
  いつもの場所に2時ころに到着した。幸いなことに雨は降っていない。でも、辺り一面の空にはどんよりとした雨雲が立ち込めているし、遠くの方で雷鳴が轟いているのが聞こえてくる。雨で死ぬことはないが、雷の危険性には注意を払う必要がある。天候が急変したらすぐに撤収することを考えて、出艇地から遠くへ行くことはせずに、ゆっくりと漕ぐことにした。
  岸べたを漕ぐので、カヤックの装備は簡単なものにする。予備パドルもパドルフロートも装着しない。フレームを組み立てシートを装着し、浮力体を膨らませて前後に入れ、船体布を被せる。エアスポンソンに空気を入れてシーソックを装着したら完成だ。30分で準備完了。



 今回はツーリングというよりは、カヤックに乗って水遊びをすると言った方がいい。いつもは、安定性を増すためにバラストを積んでいるけど今回はそれも省 略した。最悪、沈しても岸はすぐに近くなので何の問題もない。余分な重量物を何も積んでいないせいか、船速がやたら早く感じる。それが楽しくてスピードを 出すようにどんどん漕ぐ。右舷に高木浜の湖水浴客がたくさんいるが、その中から、 「あのカヌー、速い!」 という声が聞こえてくる。漕いでいる間3か所くらいでそう言われたところをみると、やはり今日の僕は速いのだろう。しばらく漕いでいる間に雷鳴は聞こえなくなった。あとは雨さえもってくれればそれでいい。






 高木浜を過ぎて知内川河口へ向かう。以前、琵琶湖のアユの数が激減しているというニュースをどこかで見た。知内川は、毎年訪れているが、確かに今年はア ユの数が少ないような気がする。いつもは、川一面に魚影が確認出来て、カヤックのデッキに飛び跳ねてくるくらいの量であったのに、今年は少ない。なぜこん なことになるのだろうか。鵜が食べ尽くしたのか、それとも天候等の自然現象によるものなのだろうか。いずれにしても、好ましいことではない。







  知内川のアユの偵察が終わったので、出艇地に戻ることにする。途中で、妙な浮遊物を発見した。もしかして、これは、機雷?これにカヤックをうっかり接 触させてしまうと、爆沈の憂き目に会うかもしれない。琵琶湖には謎がいっぱいだ。


 1時間ほど漕いだ後、出艇地に到着したが、雨はまだ降りそうにない。この日は、この季節にやっておかなければならないことをする。それは、再乗艇の練習だ。実はアルピナ1−450で再乗艇の練習をするのは初めてだ。本来は、スプレースカートを装着して沈脱するところから練習するといいのだが、転覆した状 態でスプレースカートが外れないと、死んでしまうので、それは止めた。沈脱からの訓練は、複数で練習する時に挑戦してみようと思う。
 まずはカヤックを転覆させ、足が着かない深さまで行く。カヤックを起こしてパドルにパドルフロートを差し込み、再乗艇する。やはり1次安定性がア ルピナ2−430よりも低いせいか、再乗艇はしづらい。でも、再乗艇は問題なく出来そうだ。しかし、練習時には出来ても、本番で出来るかどうかは怪しい。 水面が荒れていたり、心理面が悪化していたりすると失敗する可能性は高いのだ。僕の3年間のカヤックツーリングの経験で、今のところ幸いなことに沈したこ とは一度もないけど、ずっと沈しないとも限らない。練習だけはしておいた方がいい。
  シーソックを装着していても艇内にたくさん水が入っている。アルピナの場合、構造的にスターン側が密閉されていないため、そこから浸水するのであろう。 艇内の水をビルジポンプで排出するのはかなり苦労するので、出来るだけ早く岸に上がって排水する方がいいな。  

 再乗艇は、かなりいい運動になる。数日間、筋肉痛が残った。