〜カヤックで琵琶湖を旅するブログ〜
長良川2016初夏


 ゴールデンウィークもすっかり終わり、世間がバカンスモードから通常モードに切り替わった5月の中旬、未だバカンス気分が抜けないので、例年よりも早いこの時期に長良川を下ってみた。アウトドアでの活動にはこの時期は最も適しているので、今のうちに楽しんでおきたい。紫外線が強くなってきているのは困るけど、夏に比べると暑さはかなりましで、それになによりも、季節が夏に向かうと思うだけで気持ちが高揚するのだ。

 いつも千鳥橋からカヤックを出しているのだが、今回はそれよりも4キロほど上流から出発することにした。つまり、その4キロの区間は未開拓エリアである。楽しみでもあり不安でもある。




 出艇場所で車からカヤックを降ろしていつもどおり組み立てる。何度やってもテンション掛けにはいつもちょっとだけ苦労する。
10時に水上に出る。水温はそれほど冷たくはない。ゴミは落ちていないし、水もきれい。

 漕ぎ始めてすぐに、瀬の音が聞こえてくる。




 この最初の瀬が、この日の最大の難関だった。流れが速く、カヤックが吸い込まれるように流されていく。そのうち水深が浅くなり、底を擦りながら進んでいくがもはや制御不能状態。バレーボール大の石がゴロゴロ転がっていて、カヤックがそれに引っ掛かり止まってしまった。流れに対してカヤックが横向きになった状態で石に固定された形になって、沈しないようにバランスを保つのがやっとだ。水深が浅い場所なので、沈しても何ら問題はないが、それでも、沈は嫌なので、何とか脱出しようとしてもがいた。もがくは、「藻掻く」と漢字で書く。文字通り、パドルで石に付いた藻を掻くような様で、何とか脱出した。
 こういう状況になるかもしれないという予測はしていたので、重いけど丈夫なアルミシャフトのパドルをこの日は使った。この瀬がこういう状態であると予め知っていたのであればポーテージしたのだが、気づいた時には瀬に突入してしまっていた。
 次回からは、この瀬はポーテージすることにしよう。ファルトでこんなことを繰り返していたら、艇を傷めてしまう。今回は幸いにも船体布に穴が開くこともなく、切り抜けることが出来た。




 この辺りは、両岸から山が迫っていて、風光明媚。

 対処不能な急流浅瀬は困るけど、容易に通過出来る短区間の瀬がところどころにあると、変化があって楽しいと思う。



 
 なぜカヤックに乗るのかと問われたら、ジョージ・マロリーのように、

Because it's there.

と、答えられれば格好いいのだが、僕の場合は、ストイックなものではなく、快楽追求的な要素がある。


 川面を駆け抜けていく風がひんやりとして心地よい。空が青い。水がきれい。船体布を通して水の弾む感覚が脚に伝わってくる。




 この辺りは、文化庁が「長良川中流域における岐阜の文化的景観 」として指定している場所。
川原にカヤックを上げて、体を伸ばしてしばらく休憩する。ここで、この日の行程のほぼ半分。

 岐阜の市街地に当たるため、橋を通過していく人たちが多い。3人の自転車に乗った高校生の女の子がこちらに手を振っていった。




 風が川面に吹き付けると、傷を負ったようにその部分に細波が発生する。




 いつ見ても美しい姿のJR東海道線の橋。上り線の橋梁は大正3年に供用開始とのこと。



 
 通過した後、旋回して川面ギリギリにカメラを構えて撮ってみた。ここまで来たら、今日の川旅もほぼ終わる。

 この日漕いだ距離は20キロ。
 
長良川



 今年に入って初めてカヤックに乗った。長良川を漕ぐときは、いつも真夏だったので、少し早いこの時期に漕ぐのは、少し新鮮な気分だ。朝6時に起床し、天気を確認する。空は曇り空なので、行くかどうか迷ったが、まずは出艇地まで向かうことにする。

 久しぶりにカヤックを組み立てるが、体がちゃんと組み立て方を覚えているせいか、難なく組みあがる。真夏と違い、暑くないのは助かる。




  この千鳥橋は、清涼感のある河川敷がある。車も駐車しやすい。

 カヤックの出艇も楽である。雲間から青空がのぞく様になったので、安心して水上に出る。

 千鳥橋から、上流に向かって川を上ってみる。いつも不思議に思うのだが、流れの速さにもよるのだろうけど、なぜカヤックには川の上流へ漕ぎ進むだけの推進力がパドルで得られるのだろうか。
 
 カヤックで千鳥橋近辺を漕いでみると分かるのだが、この付近は、水の流れがすごく複雑だ。流れが速い場所やトロ場もあったりで、渦を巻いている場所もある。水深もかなりありそうだ。そんな場所であるにも関わらず、ここで泳ぐ人がいるらしく、亡くなる人のニュースを耳にすることがある。こんな場所で泳ぐべきではないのだ。
 
 この日は暑くも寒くもない良い気候だ。たまにパドルを動かす腕を休めて、川辺の風景を楽しみつつ、流れのままに川下りを楽しむ。



 まだ本格的な夏ではないので、川辺にはそれほど人が多くない。
 でも、初夏と真夏の間の梅雨の晴れ間にカヤックに乗るのはとても気分がいい。



 僕の好みだと、長良川は金華山の周辺が漕いでいて楽しい。これより上流だと、浅瀬が多くファルトでは底を擦ってしまうような気がする。下流の方は、流れがどんよりとしているのであまり楽しくない。







 この辺りの左岸は、コンクリート護岸されていない。たまに流木に鳥が留まっていたりする





 両岸の堤防上には道路があるので、人工物は存在するのだが、それでも、そんなことを感じさせないような風景も存在するのだ。




 浅瀬にカヤックを着けて、投げ網で鮎漁をしている人と話をした。

 河口堰の影響で、鮎の数が少なくなったと嘆いておられた。

 それでも、鮎を何匹か捕まえて、慣れた手つきで、はらわたを出してからビクに入れていく。

 網を投げてから、魚をビクに入れるまでの一連の作業に、無駄がない。そのようになるまで、かなりの鮎を捕まえて、多くの人たちの食卓にその鮎が並んだのだろう。

 





 しばらく漕ぐとゴール地点が見えてきた。国道21号線近辺を越えると、長良川には瀬はなくなり、川は下流の表情へと変わっていく。

 この日漕いだのは16.21キロ。

 6月のカヤックなのに、このブログ記事を書き終えるのが、9月中旬になってしまった。

 今年はあまり漕げてない。













長良川


 梅雨入りしたと言っても今年は雨がほとんど降らない。6月は休日でも用事があって
カヤックに乗ることは出来なかった。7月に入り、やっと自由に時間を使える休日を持てたが、急に梅雨らしい天気になってきた。長良川を下ろうと思っていたので、水位を調べたら、忠節でマイナス2.6メートルほど。この水深ならファルトでも漕ぐことが出来る。あとは、天気をどう判断するかだが。。

 空を見上げると、完全な曇り空。目視する限りではいつ雨が降ってきてもおかしくはない空模様だ。天気予報では、昼から晴れてくるという予報。天気予報を信じて行ってみようか。

 8時頃に友人のY君と合流し、ゴール地点に車を一台駐車し、もう一台の車でスタート地点の千鳥橋へ向かう。川原に駐車して、カヤックの組み立てを行う。曇りなので、この時期にしては組み立てるのが楽だ。しかし、組み立て途中で雨がポツポツする場面があったが、それは一時的なものだった。しかし、途中で雨が降ってきても、ここには戻れない。ひたすら雨の中を漕ぎ下らなくてはならないのだ。
 今回使用するアルピナ2−430でも、アルピナ1−450にしても、組み立てで苦労するのは、テンション掛けと浮力体とエアスポンソンへの空気入れ作業だったりする。それ以外はたいしたことはないのだが。

 そんな状態で準備を終えて、10時半頃に川面に浮かぶ。やはり曇りだと、景色が冴えない。そのせいかこの日は、あまり写真を撮らなかった。この日漕いだ長良川の区間は、中流域から下流域にかけてであり、スタート地点は石がゴロゴロしているような状態で、ゴール地点は砂利、砂が混在しているような区間である。川の様相が、下るにつれて変わるので、
変化に富んで楽しいのだ。





 スタートからしばらくの間は、金華山等の山際を川が流れている。川で涼む人がいたり、鵜飼舟の準備をする人がいたりと周囲の風景を見るのに飽きない。

 時折現れる瀬を緊張した心持でいくつか漕ぎぬけて、下っていく。途中で底を擦らないか心配になるが、今回は大丈夫だった。一度瀬に突入してしまうと、ある程度のスピードが出てしまう。しかも、瀬の区間は、波だっているので、川底の様子を目視で確認することは難しいのだ。






 この日も終わりに近づくと、流れが穏やかになっていく。15キロほどの距離を2時間半ほどで漕いだ。やはり流れがある分、琵琶湖を15キロ漕ぐのに比べると、かなり楽である。

 ゴール地点で、カヤックを撤収していると、犬を散歩に連れてきている老人が話しかけてきた。

「最近、ここで焼身自殺した人がいて、私が第一発見者だったんだよ。ついこの間ももう少し上流の橋の上から投身自殺した人がいてね。。。」

 しばらくするとその人は行ってしまったが、近くでバーベキューの用意をしていた女の子たちにも同じ事を言っていたようだ。
 水辺にはいろいろなことがあるものだ。






涼風の長良川



 夏になると長良川を漕ぎたくなる。この川でカヤックが盛んなのは、上流域だと思う。そこではダッキーやリバーカヤックが主に用いられる。しかし、どんな河川でもそうだと思うが、上流域はファルトボートには全く適していない。しかし、下流域はどんよりとした流れで楽しくない。

 したがって、中流域を漕ぐことになる。漕ぐのに適した条件としては、カヤックの底を擦らない程度の水深が見込めることと、水質が満足出来る程度のものであることとなる。昨年も同じ場所を漕いだが、今年の長良川はどんな表情を見せてくれるだろう。
 
 長良川は、すぐ近所なので、もっと頻繁に漕いでもいいのだが、瀬の中に潜む岩が怖いため躊躇するのだ。琵琶湖だと漕ぎながら水中の岩に座礁しないように避けながら漕ぐことが出来るが、瀬に突入するとかなりスピードが出るので、それが難しい。ダッキーなら岩に少々ぶつけても大丈夫だと思うがファルトはその点が心配だ。それならダッキーを手に入れてそれで漕げばいいのだろうけど、下流に近づくに連れて瀬はなくなっていくので、そうなるとファルトの巡航速度が有用なのである。
 そんな事を思いながら、長良川へ出かけた。

 



 スタート地点に8時30分に到着。そこには水上バイクを楽しむ人たちがいる。その横でカヤックを組み立てる。やはりこの季節は暑い。

 だらだらと組み立てているわけでもないのに、なぜか準備に1時間近くかかってしまった。

 組みあがった頃に、水上バイクの女の子に声をかけられる。いい感じの子だったな。少し話をして、その子に送り出される。

 あまりにも暑かったので、腰まで水に浸かってみる。水が冷たくて気持ちいい。一気に汗が引く。










 やっぱり長良川はいい。来て良かったと思える瞬間だ。


 カヤックを水に浮かべてから、出艇前の作業で忘れていたことを思い出した。石にカヤックをぶつけた時の用心として、リブフレームに沿って、船体布の外側からガムテープを貼っておこうと思っていたのだ。キールラインは、元々、船体布が補強されているのだが、リブレームの当たる場所は補強されていないためだ。

 気が付いた時は、遅かった。今回はこのままで行こう。




 川面に浮いているカマキリを発見し救出する。この日の川旅の相棒はカマキリ。

の、はずだったが、すぐにどこかへ行ってしまった。







 まさに山紫水明の地。

 と、景色に浸っていると、最初の瀬が現れる。ここで気づいたが、昨年、同じ場所を漕いだ時よりも、水深がある。これは漕ぎやすい。水深によって、こんなに違うものなのか。






 鵜飼大橋の下を潜る。空の青さと、川面を吹き抜ける涼しい風が心地いい。


 いくつもの瀬を抜けるが、瀬の中にいる時は必死なので、写真はない。必死ではあるが、昨年よりも岩にぶつかりそうな恐怖はない。やはり水深があるせいだ。それでも油断せずに、川底の状況を確認しながら漕ぐのだが、水で光が屈折するせいか、どの程度の深さがあるのか瀬の渦中にいる時は分かりづらい。それでも、瀬の中でカヤックが暴れるのを楽しむ気持ちも一方ではある。
 





 2艘の鵜飼観覧船が通過していく。宵時に向けて準備でもしているのだろうか。

 そう言えば、この日はあまりパドルで漕がなかった。漕がなくてもカヤックは長良川の流れで自然に下流へ向かって運ばれていくのだ。

 




 長良川温泉の旅館街に係留されている鵜飼観覧船。百日紅の花が咲いている。
 こんな景色がずっと続けばいいのだが、あっという間に通り過ぎてしまう。


 喉が渇いたので、ジンジャーエールをクーラーボックスから取り出す。缶入りのジュースは川下りのカヤックで飲むには適していない。飲んでいる途中で瀬に突入したら缶の置き場所に困るのだ。ペットボトルなら、キャップをしてしまえばいいのだが。
 




 忠節橋を通過する。

 この辺りから、市内を流れる川から郊外を流れる川へと変わる。

 それでも瀬は断続的に出現する。


 途中、川で出会うのは、投網を打つ漁師さん。川辺で日光浴をする人や川遊びをする人、水上バイクをする人である。水上バイクは、カヤックにとっては怖い存在だ。川は琵琶湖のように広くはないので、衝突しないように注意する。





 これは、大縄場大橋。

 この橋を過ぎてしばらく下った場所でカヤックから降りて、PFDを着けたままで川に浮かんでみた。こんなに気温が高くてもやはり水温は冷たい。


 コーミングカバーを装着しているので、船体布を通してカヤックの内部の空気を川の水が冷やす。そのため下半身は涼しい。上半身は、川面を吹き抜ける風を受けるので、それはそれでまた涼しい。陸上とは随分違う。




  

 東海道線の橋を通過するとゴールは近い。もっと川に浮かんでいたい気分だ。

 でも、これよりも下流は、川の表情は下流然といったものになっていく。



 ゴール地点に到着したのは11時30分頃。
漕いだ距離は14.5キロ、時間は2時間。

 帰宅後に忠節での水位を調べたら、この日10時で−2.56m。
参考に昨年、漕いだ日の水位も調べたら、同じ時刻で−3.46m。

なるほど。これだけ水位に差があれば、漕ぎやすさも変わってきて当然だ。おかげで、今回は底を擦ることは一度もなかった。次回から水位を調べてから出かけるようにしよう。
ベトナム笠で長良川


 僕は、長良川のすぐ近くに住んでいる。でも、カヤックを浮かべる対象だとは思っていなかった。2年前に、下流へ向かって漕いだことはあったが、人と隔絶された世界で単調な風景が続くだけだったので、もう一度漕ぎたいとは思わなかった。

 僕が住んでいる場所より上流は、鵜飼をやっていたり岐阜城を望みながら漕ぐことが出来そうだが、水深が浅そうでファルト向きの川とは思えなかったのだ。今回、長良川を下ろうと思い立ったのは、その前の週にカヤック仲間(写真仲間!?)のてっさんと、郡上八幡へ出かけたとき(その時のレポートはこちら)に、車の窓から長良川を眺めながら、この川を漕ぐことが出来るか尋ねたら、水深が浅いところはライニングダウンすれば大丈夫というアドバイスをいただいたので、実行してみた。

 先月の終わりに、ベトナムへ出かけていて、自分用の実用的なお土産としてベトナム笠を買ってきた。軽いし、帽子と違って蒸れないし、日射しを防ぐ効果は抜群だ。ただ、買ったときのあごひもがあまりにもショボかったので、100円ショップで材料を買ってきてカスタマイズした。

 今回の使用艇は、迷わずアルピナ2−430にする。パドルは、川底を突いても簡単には壊れないアルミシャフトとナイロンブレイドのTNPの4分割パドルを使用する。ライニングダウンやポーテージする可能性も考慮し、荷物は出来る限り持たない。川岸が近いのでビルジポンプも不要。暑い時期だし自宅が近いので、着替えも不要。以上の装備とした。



 自分の車をゴール予定地点の国道21号線の穂積大橋の堤防に置き、長良川の鵜飼い大橋の少し上流まで、父親に乗せて行ってもらった。公共交通機関で、スタート地点まで行くのは無理な場所である。

 この日は曇りとはいえ、やはり暑い。9時20分頃到着し組み立て始めるが、すぐに体が加熱してくる。途中、長良川の水で体を冷やしつつ準備を進めていく。こういう澄んだきれいな水は、体を冷やすにはうってつけだ。気分がいい。

 河原には拳よりも大きな石がゴロゴロしていて足場が悪い。組み立てもし辛い。船体布を広げて、その上でフレームを組み立てていく。組み立てる途中で、スターン側のハルとデッキの縫い目の生地が1センチほど裂けているのを発見。今回のツーリングには支障がないので、帰宅してから補修することにする。 

 10時くらいに準備が終わり、水上へ出る。準備で体力を使い、体も熱くなっているが、涼しい風が吹いてくるので、すぐに暑さはましになった。





 
 本当はこの笠は女性用なのだ。そうは言っても、ベトナムでは男の人もたまに被っているけどね。

 今は鮎釣りのシーズンだけど、釣りに適した場所は、もっと上流の方なのか、釣り人にはほとんど出会わない。その辺は安心できる。落ち鮎漁もまだ始まっていないので、川がせき止められているところもない。今がこの川を下るにはベストシーズンかもしれない。

 


 
 左舷に岐阜城を眺め、夏の川の匂いを胸いっぱいに吸い込み、ゆっくりと進む。この日は曇りで、写真はイマイチだ。山の頂上に岐阜城があるんだけど、雲で光が拡散して写真では見えない。 






 
 この辺りは長良川温泉街で、夜は鵜飼が行われている。人と水辺の距離が近い場所、親水空間というのだろうか、こういう場所を漕いでいるときが、カヤックに乗っていて良かったと思える瞬間だ。





 これは、鵜飼観覧船。









 ここは、観覧船の乗り場。この辺りって、カヤックで漕ぐにはかなりいい場所だと思うんだけど、漕いでいる人を見かけたことは一度もない。




 いつも琵琶湖ばかり行っているので、川くだりの経験はまったくない。今回、頭を悩ませたのが、時折出現する、瀬である。その瀬は、浅瀬であり早瀬である。瀬が近付いてくると音がするので、瀬の存在は分かるのだが、果たしてライニングダウンすべきかどうかの判定が非常に困難なのだ。川幅がそれほど広いわけではなく、PFDも装着しているので、身体的な危険性は感じないが、艇を損傷させてしまう危険性があるのだ。

 水深を確認しながら進むが、瀬に突入してしまうと、スピードに乗ってしまうので、ある程度は勢いで下っていかざるを得ない。瀬の真ん中では、進行方向を保つためにパドルを使うがスピードの調整は難しい。瀬の始まりは水深があっても、途中でどうなっているかは分からないのだ。

 今回は、結果としてライニングダウンをしたのは一度だけだった。早瀬で底を擦ったことが一度だけあったが、帰宅後確認しても船体布の傷は確認出来なかった。

 こういう場所はダッキーの方が向いているのだろうな。でも、瀬は点在しているだけなので、他の場所ではファルトの直進性やスピードが必要なのだけど。






 長良川は、未だに渡し舟が健在である。「小紅の渡し」は17世紀には、既に存在していたらしい。あまり利用している人を見たことはないな。

 長良川では、こういう木船がたまに停泊しているのを見かけるけど、瀬があったらどうするのだろうか。

 この辺りまで来ると、周囲は単調な風景が続くようになる。一人旅だと、こういう時に少しきつくなる。そう言えば、沢木耕太郎の「旅する力 深夜特急ノート」に、こんな行がある。

「ひとり旅の道連れは自分自身である。周囲に広がる美しい風景に感動してもその思いを語り合う相手がいない。それは寂しいことには違いないが、吐き出されない思いは深く沈潜し、忘れがたいものになっていく。」

 カヤックでの旅も、それ以外の旅も、一人でいることを望んだわけではないけど、結果的に一人になってしまう事が多い。旅先で目の当たりにした森羅万象や、悲喜こもごもが、ダイレクトに心の中に刻み込まれていくのは、やはりひとりの時なのだ。周囲に誰かがいると、自分の神経の何割かはコミュニケーションに使用してしまうからなのだろう。

 でもやっぱり、いつも一人っていうのは嫌だな。一人だと、物理的に不可能な事もあるし、そもそもフジタカヌーのカヤックの船体布の内側には、安全のために一人でやらないようにって書いてあることだし。





 昼近くになったので、持参したパンを食べる。食べている間にも、川の流れはカヤックを下流へ向けて運んでいく。JR東海道線の鉄橋が見えてきた。ここまで来たらゴールは近い。





 急に雲行きが怪しくなってきた。遠雷も聞こえ始めた。ヤバイ状況だ。でも、ゴールの橋はすぐ目の前だ。上陸したのは12時30分くらい。今日のツーリングは、2時間30分で12.9キロを漕いだ。

 この後、急いでカヤックをバラして車に積み込んだ。車に乗り込んだ瞬間、ドシャ降りの雨と大きな雷の音がした。

 帰宅して、船体布を乾かした後、裂けている箇所を補修した。アルピナ2−430は、何箇所か補修跡があるが、実際に浸水して補修したのは一箇所だけで、他の補修跡は補強するためであったり、縫い目のほつれが広がらないように、等と言う事前の策の補修がほとんどだ。これからも補修跡が増えていくのだろうな。10年後にはどんな姿になっているのだろう。

親子カヌー教室
 

 来年は岐阜で国体が開催される。その関連イベントで、長良川サービスセンターで親子カヌー教室が開催されていたので申し込んで参加してきた。ちなみに、無料である。

 この日は、来年の国体出場選手やロンドンオリンピック出場選手が来場しておられた。(写真右の白い三人)

 競技用のカヤックはすごくボリュームが小さい。肩幅よりも狭いくらいだ。手前のカヤックがそれ。漕ぐところを見せてもらったけど、すさまじく速い。時速20キロくらいは出るらしい。パドリングも、バババババ・・・っていう感じだ。まるで水鳥が飛び立つ前に水面を羽ばたくような感じだった。


 どのカヌー教室も小学生4年生からというところが多いのだが、今回は小学生3年生からが対象だった。このカヌー教室の前日、

「もし、一人でカヌーに乗るんだったら、いやや。行かへん!」

と、言い出した。息子とは、数回カヤックに乗っているが、パドリングがまったくだめなので、同乗していると苦労するのだ。シングル艇じゃないと、パドリングなんて身に付かないから、行くように促した。

  

 1時間ほどシングル艇に乗っているうちに、しっかりと漕げるようになっていた。やれやれだ。



長良川を下る
   以前から計画していた、ファルトでの長良川ダウンリバーを実行した。僕が住んでいるのは、岐阜県の瑞穂市なので、出撃位地はここ。国道21号線と長良川が交差する左岸の橋脚辺りが、出艇しやすそうなので、ここでアルピナ2−430を組み立てた。組み立て中に、足の親指をコンクリートにぶつけてしまい、爪が少し剥がれて出血。意気消沈し、今日はやめようかと思ったけど、しばらくすると出血も止まり痛みもなくなったので、気を取り直して、組立作業を続けて9時に出艇した。それにしても、この時期は暑い。組立作業だけで熱中症になりそうだ。これには、まいった。





 しかし、漕ぎ出してみると、風があるせいか、意外に涼しい。川面が鏡のようになっていて、空の映り込みがとても美しい。すごく良い気分で、漕ぎ進めていく。普段見ている長良川は、あくまでも外側から見ていたが、川の中から見るととても新鮮である。しかし、漕ぎ始めて10分もしないうちに、浅瀬が出現。降りて艇を引っ張っても、船底を擦るのでポーテージしなくてはならない。






 しかし、このポーテージが曲者で、この日はキャリアカート等、比較的重い荷物を積んでいるため、一人で持ち上げることは出来ない。そのため、コーミングカバーを外し、3回に分けて荷物を運び、やっとポーテージを完了させることが出来た。出艇してから10分ほどしか経っていないのに、このありさま。またしても、汗だくになり、少しクラクラしてきた。

 ポーテージしなければならないほどの浅瀬は、ここまでである。ポーテージを避けるためには、もう少し下流から出艇した方が良さそうだ。さて、ここからどんどん下流に漕ぎ進んでいくわけだが、この川は、流速がすごく遅くって、漕がないと全然進まない。疲れたら、昼寝でもしていたら、河口近くまで勝手に行くのかと思っていたが、大違いだ。漕いでいると、魚が跳ねたり、鳥が編隊を組んで飛んでいるのを見ることが出来て楽しい。この辺りは、長良川には誰もいないので、川を独り占めしている気分になる。

 3時間ほど、漕いで12時になったので、一度上陸したくなり、道の駅の「クレール平田」で、ソフトクリームを食べつつ、休憩する。





 この道の駅は、長良川沿いにあるので、長良川をダウンリバーする場合の休憩場所としてはちょうどいいと思う。しかし、長良川の中・下流域ををファルトでダウンリバーをしている人なんて、今まで見たことがないけど。道の駅、クレール平田へ行く場合は、ちょうど良い砂浜があるので、ここでファルトを係留しておくと良いだろう。

 休憩を切り上げて1時に出発。ここから精神的ダメージを受ける事態が発生。しばらく漕いでいると、波が出てきた。さすがに、ここまで来ると、ある程度の水深があって川幅も広いので、動力船が通行するようになる。その動力船が作り出す波なのか、風による波なのか分からない。今回は、単独なので、かなり心細くなる。腕もかなり疲れてきた。少し逃げ出したい気分になってくる。川沿いなので、いつでも撤収した時に撤収できるだろうと思っていたが、川岸は深い草むらで覆われていて、撤収ポイントがなかなか見つからない。それでも、しばらく漕いで3時近くに、何とか上陸できそうな場所を見つけることが出来た。公共の交通機関はないので、父親に電話をして迎えに来てもらう事にした。車だと30分くらいの距離を、5時間もかけて漕いだわけだ。漕いだ距離は20キロ弱だと思う。

 今回、思ったのは、この川は意外なほど、距離が稼げないということだ。川の流れでは進んではいけないのだ。それに、撤収時とその場所を選ぶのは、重要だ。

 若い頃、僕はオフロードバイクで舗装されていない、山奥を走るのが好きだった。ファルトもそうだが、林道ツーリングというのも、マイナーな趣味なので、単独で行く事が多かった。人気のない山奥で一人ぼっちで心細くなったことが何度かあったが、今回のことでその当時のことを思い出した。もう少し、精神的に強くなれればいいのだが。