〜カヤックで琵琶湖を旅するブログ〜
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安曇川河口の新緑

 

 世間では10連休のGWである。気候の良いこの時期にここまで長期の連休なんて稀有なことである。(僕は10連休じゃないけど)何の実績も残さないままGWが過ぎてしまうのは悔しいので一年ぶりにカヤックに乗ることにした。

 このブログ、一年も放置してあった割には見てくださっている方もいるらしく、僕の安否を気遣うメールをいただくこともある。気にかけていただいたありがとうございます。

 漕行記には、冒頭にGPSロガーで記録した軌跡をグーグルマップで表示しているのだが、APIキーを取得しないと地図が表示出来ないようになってしまった。APIキーを取得する気はなかったため、別の地図データを表示させるには過去の地図データファイルを再作成しなくてはならず、その作業にうんざりした。でも、頑張って作業しましたよ。

 何でしばらくカヤックに乗っていなかったかと言うと、カヤックに纏わる面倒くささが楽しさを上まっていたからということと、他の趣味に傾倒していたためである。後者の理由はいいとしても、前者の理由は根が深い。

 「面倒くささ」というのは、ファルトボート故に組み立て作業が面倒くさいという意味ではない。まあ、ちょっとはそれもあるけどね。でもそれは、折りたたんで運べるという利便性とのトレードオフだから仕方がない。面倒くささというのは、カヤックの危険性に対する恐怖と水辺で発生する人間関係(主に釣り師)とのトラブルである。何でこのように感じるよう至ったかは、過去のブログ記事を読んでいただけると分かると思う。そもそも、このブログをわざわざ読みに来てくださる方は、単なるカヤックやゲレンデの情報収集だけではなく、一人のカヤッカーとしての心の動きにも興味があるようで、その辺りのことはやはり書いておく必要があると思う。

 と、ここまでが本日の長い前置き(笑)

 いろいろと冒頭にネガティブなことを書いたけど、カヤックの旅は得ることがとても大きなものであることには変わりがない。それは確かだ。 

 

 

 

 今回はアルピナ1−450に乗った。このカヤックに乗るのは2年ぶりになる。組み立て方を忘れていないか心配したがそんなこともなく、体が覚えていた。シングル艇は組み立てるのが楽だな。ただやっぱり、低ボリュームのためか、1次安定性は低く、乗り降りの際は要注意だ。これ、毎回書いているな。

 組み立てが楽と言ってもやはりそれなりの作業なので、組みあがるころには汗をかくほどになる。しかし、まだ水温は低いのでウェットスーツを着込む必要がある。沈して長時間水に浸かると低体温症になってしまう。琵琶湖を漕ぐ場合、パドルフロートを常備しているけど、いざという時、再乗艇出来るかな。パドルフロートを使った再乗艇訓練は、随分前にしたきりである。暑くなったらまたやっておいた方が良さそうだ。

 僕はパドルリューシュで、パドルをカヤックに固定しているけど、それでも予備パドルを常備している。どこかのブログで、沈した時に1組しかないパドルを手放してしまったという内容の恐怖体験を読んだためだ。破損してしまうこともあると思うし。

 カヤックを始めたころは、ただただいろんなことが新鮮で楽しいことだらけであったが、いろんなことを経験したり見聞きしているうちに、用心深くなっていくのである。後になってから振り返ってみると、あの時は、無謀なとをこしていたのだなと感じることがある。これはどんなことでも一緒だけど。

 さてさて、心の内面の旅はそろそろこの辺りにして、安曇川河口だ。(やっとか。)

 



 

 実はここ、近江今津駅から近江高島駅まで電車を使って漕いだ時と、沖の白石へ行った時に、漕いだことがあるんだけど、丹念に岸辺の状況を見て漕いだわけではないので、ほぼ初めてと言ってもいい。訪れたことがある場所でも、視点が変われば別の体験になると言ってもいい。カヤックショップのツアーでは、「安曇川ジャングル」と呼称されているらしい。A地点からB地点までを一気に漕ぎ進む旅は達成感があるけど、季節を感じながら丹念に風景を探っていくのもカヤックの醍醐味であると思っている。

 この日の天気は薄曇りで、午後から晴れ。空を見上げる方角によって、雲がかかっていたり晴れていたりする。風はほぼなく、波もない。比良の山峰を一瞥し、まずは、北流を漕ぎ上ってみる。河口付近は水深が浅いところと深いところが複雑に入り組んでいる。川の中は琵琶湖に比して閉じた空間であるためか、入ってしまうととても静かだ。ごく近くで発生する水鳥の鳴き声や、魚が飛び跳ねる音がするくらい。琵琶湖は、湖水や大気の動き、たまに通過する動力船の音等が作り出す、巨大なモノの動きを常に感じるのだ。

 北流の散策をし終えた後、水筒がないのに気づく。うっかり出艇地に置き忘れたようだ。カヤックの準備が出来ると、一刻も早く水上に出たい気分が逸り、過去にもいろんなものを忘れたことがある。水筒はちょっとだけ値が張るサイクリング用ボトルのため、まだ大して進んでもいないので、戻ることにする。草むらに転がっていたのを確認して、すぐにまた本来の場所を漕ぎ進む。


 

 

 「びわ湖こどもの国」の湖水浴場でカヤック体験教室をしているのを横目で眺めつつ、クリークに入ってみる。おそらくカヤックツアーで案内される場所は安曇川南流河口の南なのだろう。

 大げさに書くと、「もののけ姫」に出てくる森のような感じ(笑)

 樹林と湖の境界が曖昧で、水位や季節によってその表情を変えるのだろう。今は新緑の時期なので、萌え上がる緑が湖面に映り込みゆらゆらと揺れている。流木や倒木が造形美を醸し出している。

 こうしたクリークを漕いでいると、水上に生えている葦や砲慮う側から「バシャバシャ」という音が聞こえてくるが、鳥なのか魚なのか動物なのかまるで正体が分からない。それ以外は、たまに小魚が跳ねる程度で、とても静かで穏やかな空間である。新緑の時期とは言っても、立ち枯れた葦も残っていて冬の名残も同居している。

 この風景を陸地から見れたとしても、カヤックから見た時と同じ気持ちで見ることは出来ないと思う。景色を見た時の気持ちというのは視覚情報のみに依拠しているわけではなく、もっと総合的な体験である。地面に立っているのと、船体布から伝わる水の感覚を受け止めながら、水面間近の空気を吸いこみながら見る景色はやはりどこか違って感じるのだ。

 この景色は今日だけのもの。明日には木々の芽はもっと伸び、天候も水位も変化する。

 

 

 

 いくつかのクリークを楽しんだ後、昼食にする。今やカヤックの旅の定番となりつつある「焼き鯖寿司」を、流木の大樹をベンチ代わりにして食べる。これ、マキノの道の駅で買ったんだけど、とても美味しい。

 この日、見るべきところはだいたい見終わったので、岐路に着く。2時ころから風が強くなり始めることが多いので、琵琶湖ではそれまでに上がっていたい。

 平成から令和に改元されたということで、テレビの街頭インタビューで新時代の抱負を語る人たちが放送されていたが、自然相手の趣味をしていると、いつの時代でも季節の移ろいは同じであるのに、元号が改まったということで人は心機一転出来るものだろうか。年年歳歳花相似たり。。。

 

 

 

 安曇川南流の河口付近で、遠くからパドルを動かして南進して近づいてくる一艇のカヤックが見える。琵琶湖はカヤックのメッカ的な感じだが、こんなふうに湖上で誰かに会うのは珍しい。出で立ちを見るに、本格的にカヤックの旅をしてそうな方に見える。すれ違いざまに挨拶をし、少し話してみることにする。京都在住のNさん(仮称)は、湖西線を利用してキャンプツーリングを楽しんでおられるとのこと。過去に白髭神社近辺で強風に見舞われ戻れなくなり、沖島まで行かれたことがあるそうだ。僕も湖北で天候が急変し、かなり怖い思いをしたことはあるけど、そこまでの経験をしたことはない。Nさんは坦々とその時のことを話してくださったけど、メンタル的にタフなのだろう。僕の方がカヤックの年数は長いようだが、Nさんの方が深淵を覗いている気がする。

 結局、そういった経験をしながら続けていくか、やめてしまうか、あるいは自らを失いやめざるを得なくなるのか、カヤックに乗るというのはそんな行為なのだと思う。

 

 

 

 Nさんは、比良の山峰に向かって右に左にパドルを動かして、やがては判別できないくらい小さくなった。またいつかどこかの水上でお会いできますように。

 予定通り2時頃、岸に上がった。この日は3時間で移動距離は9キロほど。

 なんだかカヤックに乗るのが楽しくなってきた。

 

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