〜カヤックで琵琶湖を旅するブログ〜
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ベトナム笠で長良川


 僕は、長良川のすぐ近くに住んでいる。でも、カヤックを浮かべる対象だとは思っていなかった。2年前に、下流へ向かって漕いだことはあったが、人と隔絶された世界で単調な風景が続くだけだったので、もう一度漕ぎたいとは思わなかった。

 僕が住んでいる場所より上流は、鵜飼をやっていたり岐阜城を望みながら漕ぐことが出来そうだが、水深が浅そうでファルト向きの川とは思えなかったのだ。今回、長良川を下ろうと思い立ったのは、その前の週にカヤック仲間(写真仲間!?)のてっさんと、郡上八幡へ出かけたとき(その時のレポートはこちら)に、車の窓から長良川を眺めながら、この川を漕ぐことが出来るか尋ねたら、水深が浅いところはライニングダウンすれば大丈夫というアドバイスをいただいたので、実行してみた。

 先月の終わりに、ベトナムへ出かけていて、自分用の実用的なお土産としてベトナム笠を買ってきた。軽いし、帽子と違って蒸れないし、日射しを防ぐ効果は抜群だ。ただ、買ったときのあごひもがあまりにもショボかったので、100円ショップで材料を買ってきてカスタマイズした。

 今回の使用艇は、迷わずアルピナ2−430にする。パドルは、川底を突いても簡単には壊れないアルミシャフトとナイロンブレイドのTNPの4分割パドルを使用する。ライニングダウンやポーテージする可能性も考慮し、荷物は出来る限り持たない。川岸が近いのでビルジポンプも不要。暑い時期だし自宅が近いので、着替えも不要。以上の装備とした。



 自分の車をゴール予定地点の国道21号線の穂積大橋の堤防に置き、長良川の鵜飼い大橋の少し上流まで、父親に乗せて行ってもらった。公共交通機関で、スタート地点まで行くのは無理な場所である。

 この日は曇りとはいえ、やはり暑い。9時20分頃到着し組み立て始めるが、すぐに体が加熱してくる。途中、長良川の水で体を冷やしつつ準備を進めていく。こういう澄んだきれいな水は、体を冷やすにはうってつけだ。気分がいい。

 河原には拳よりも大きな石がゴロゴロしていて足場が悪い。組み立てもし辛い。船体布を広げて、その上でフレームを組み立てていく。組み立てる途中で、スターン側のハルとデッキの縫い目の生地が1センチほど裂けているのを発見。今回のツーリングには支障がないので、帰宅してから補修することにする。 

 10時くらいに準備が終わり、水上へ出る。準備で体力を使い、体も熱くなっているが、涼しい風が吹いてくるので、すぐに暑さはましになった。





 
 本当はこの笠は女性用なのだ。そうは言っても、ベトナムでは男の人もたまに被っているけどね。

 今は鮎釣りのシーズンだけど、釣りに適した場所は、もっと上流の方なのか、釣り人にはほとんど出会わない。その辺は安心できる。落ち鮎漁もまだ始まっていないので、川がせき止められているところもない。今がこの川を下るにはベストシーズンかもしれない。

 


 
 左舷に岐阜城を眺め、夏の川の匂いを胸いっぱいに吸い込み、ゆっくりと進む。この日は曇りで、写真はイマイチだ。山の頂上に岐阜城があるんだけど、雲で光が拡散して写真では見えない。 






 
 この辺りは長良川温泉街で、夜は鵜飼が行われている。人と水辺の距離が近い場所、親水空間というのだろうか、こういう場所を漕いでいるときが、カヤックに乗っていて良かったと思える瞬間だ。





 これは、鵜飼観覧船。









 ここは、観覧船の乗り場。この辺りって、カヤックで漕ぐにはかなりいい場所だと思うんだけど、漕いでいる人を見かけたことは一度もない。




 いつも琵琶湖ばかり行っているので、川くだりの経験はまったくない。今回、頭を悩ませたのが、時折出現する、瀬である。その瀬は、浅瀬であり早瀬である。瀬が近付いてくると音がするので、瀬の存在は分かるのだが、果たしてライニングダウンすべきかどうかの判定が非常に困難なのだ。川幅がそれほど広いわけではなく、PFDも装着しているので、身体的な危険性は感じないが、艇を損傷させてしまう危険性があるのだ。

 水深を確認しながら進むが、瀬に突入してしまうと、スピードに乗ってしまうので、ある程度は勢いで下っていかざるを得ない。瀬の真ん中では、進行方向を保つためにパドルを使うがスピードの調整は難しい。瀬の始まりは水深があっても、途中でどうなっているかは分からないのだ。

 今回は、結果としてライニングダウンをしたのは一度だけだった。早瀬で底を擦ったことが一度だけあったが、帰宅後確認しても船体布の傷は確認出来なかった。

 こういう場所はダッキーの方が向いているのだろうな。でも、瀬は点在しているだけなので、他の場所ではファルトの直進性やスピードが必要なのだけど。






 長良川は、未だに渡し舟が健在である。「小紅の渡し」は17世紀には、既に存在していたらしい。あまり利用している人を見たことはないな。

 長良川では、こういう木船がたまに停泊しているのを見かけるけど、瀬があったらどうするのだろうか。

 この辺りまで来ると、周囲は単調な風景が続くようになる。一人旅だと、こういう時に少しきつくなる。そう言えば、沢木耕太郎の「旅する力 深夜特急ノート」に、こんな行がある。

「ひとり旅の道連れは自分自身である。周囲に広がる美しい風景に感動してもその思いを語り合う相手がいない。それは寂しいことには違いないが、吐き出されない思いは深く沈潜し、忘れがたいものになっていく。」

 カヤックでの旅も、それ以外の旅も、一人でいることを望んだわけではないけど、結果的に一人になってしまう事が多い。旅先で目の当たりにした森羅万象や、悲喜こもごもが、ダイレクトに心の中に刻み込まれていくのは、やはりひとりの時なのだ。周囲に誰かがいると、自分の神経の何割かはコミュニケーションに使用してしまうからなのだろう。

 でもやっぱり、いつも一人っていうのは嫌だな。一人だと、物理的に不可能な事もあるし、そもそもフジタカヌーのカヤックの船体布の内側には、安全のために一人でやらないようにって書いてあることだし。





 昼近くになったので、持参したパンを食べる。食べている間にも、川の流れはカヤックを下流へ向けて運んでいく。JR東海道線の鉄橋が見えてきた。ここまで来たらゴールは近い。





 急に雲行きが怪しくなってきた。遠雷も聞こえ始めた。ヤバイ状況だ。でも、ゴールの橋はすぐ目の前だ。上陸したのは12時30分くらい。今日のツーリングは、2時間30分で12.9キロを漕いだ。

 この後、急いでカヤックをバラして車に積み込んだ。車に乗り込んだ瞬間、ドシャ降りの雨と大きな雷の音がした。

 帰宅して、船体布を乾かした後、裂けている箇所を補修した。アルピナ2−430は、何箇所か補修跡があるが、実際に浸水して補修したのは一箇所だけで、他の補修跡は補強するためであったり、縫い目のほつれが広がらないように、等と言う事前の策の補修がほとんどだ。これからも補修跡が増えていくのだろうな。10年後にはどんな姿になっているのだろう。

カヤックも、だいぶ経験値が上がってきましたね。

この時期、雷は怖いですね。
一度、かなりやばい事態を経験してから、天気の微妙な日は自転車やランニングに行くときは気を使います。
uekawa | 2012/08/15 21:41
アウトドアでの活動は、危険要素がいろいろとあるので安全には気をつけていないといけませんね。
Oe | 2012/08/15 22:41
長良川は 上流の激流下り、中流の観光下り、下流の瞑想下り、いろいろな漕ぎ方ができる良い川ですね。  笠はやっぱり手漕ぎの舟によく似合いますね。 トレードマークになりますよ。
ウッドデッキ | 2012/08/16 00:23
その3種類だと、観光下りが、僕の性に合っていそうです。笠は、これからも活躍しそうです。
Oe | 2012/08/16 21:08
 こんなに早く行かれるとは思いませんでした。

 鮎釣り師大丈夫だったんですね。

 水量の少ない川はどうしても、ファルトの船体布にきついので躊躇してしまいがちですが、横着せずに艇を降りれば大概大丈夫ですね。

 川の中では熊野川が最高でした。
てっさん | 2012/08/18 00:07
釣り師がたくさんいるのは、もう少し上流みたいですね。熊野川、いいんだろうなー。
Oe | 2012/08/18 00:09
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