〜カヤックで琵琶湖を旅するブログ〜
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安曇川扇状地帯



 JR湖西線を利用したカヤックツーリングで、近江今津駅、近江高島駅の区間を漕ぐのは二の足を踏んでいた。近江今津駅と近江高島駅の間には、安曇川駅と新旭駅があるのだが、この両駅は内陸部に位置しているので、琵琶湖へのアクセスが悪い。そのため、今回の安曇川扇状地帯で電車を使ったカヤックツーリングをするとなると、琵琶湖に近い近江今津駅、近江高島駅の区間となるが、今までに経験したことがない距離を漕がなくてはいけない。いつもは、長距離でも15キロほどのツーリングしか経験がないのだが、今回は20キロほど漕がなくてはならない。果たして、そんなに漕げるのかという一抹の不安を抱きつつ、体力的限界や天候悪化で漕げなくなったら、駅まで何キロでも歩いてやるという覚悟をして、今回のツーリングに挑んだ。

 普段から、週に2回、毎回5キロのジョギングをしているので、カヤックを浜辺に一時的に置いて駅まで歩き、駐車場の車を取って来るのは造作もないことだ。カヤックの盗難の危険はあるけど。

 近江今津駅近くの駐車場に車を置いて、徒歩で10分くらいの今津港近くの浜辺でカヤックを組み立てることにする。浜辺にはコスモスが、穏やかな中秋の微風に花を揺らしている。中秋とはいえまだ9月、カヤックを組み立てていると汗が吹き出てくる。荷物をカヤックに積み込み、9時40分に水上に出る。






 
 やはり、興奮度が一番高いのは、水上へ漕ぎ出すこの瞬間だ。しばらく漕いでいると、疲れてきたり風景が単調になると気分がだれてくる。僕の場合、漕ぎ始めて30分くらいで疲れを感じ始めるのだが、それを過ぎると体が漕ぐことに慣れてくるせいか、腕が勝手にパドリングを続けていく。

 先ほどまでこの桟橋に定期船が泊まっていたのだが、都合の良いことに、僕が出艇する前に出航していった。大きな船の近くは漕ぎたくないので、ほっとする。それにしても、なぜ船の場合は「泊まる」という漢字を用いるのだろう。







 始めて漕ぐ場所というのは、とても新鮮な気持ちになる。それが、僕の好きな人々の生活と歴史を感じさせる風景なら、なお更だ。
 この日の琵琶湖は水量は多く濁っているけど、とても穏やか。どんどん漕ぎ進む事が出来そうだ。この調子なら近江高島まで行けるだろう。






 「吸い込み口」って何だろう。既に、こんなに近寄ってしまっているけど大丈夫なのだろうか?

 と、思いつつ、写真を撮ったら一目散に退散する。吸い込まれたら大変だ。しかし、どんなメカニズムで吸い込むようになっているのだろう。


 カヤックツーリングは安全のためにも、可能であればソロツーリングは避けた方がいいと思う。僕は望んだわけではないけど、ソロで行くことが多い。当然のごとく対話する相手が誰もいない。でも、その反面、この世界の全てが自分の中に溶け込んで来るように感じる。複数でツーリングする時は、それを同行者と分割して分かち合うものとなり薄味なものに変わる気がするが、同行者とその思いを共有するという新たな価値を生むので、その経験もそれはそれで得難いものだと思う。








 ひっそりと湖岸に佇む、和風の灯台。あれ、今津の灯台ってこんな場所だったかな。








 しばらく進むと、浮島が見えてくる。人工的に葦を育てるためなのか漁礁とするためなのか分からないけど、その浮島の周辺には、複数のこんな標識が立っている。

 何が危険なのだろうか?

 その理由が気になるところだ。










 ここにも謎の標識が。

「これより湖岸一帯は、共同漁業権漁場につき」

その続きは、なんなんだ。関係者であれば、これだけで分かるのだろうか。
共同漁業権漁場だから、勝手に漁をしてもいいのか、だめなのか、あるいは全く別の文章が続くのか。







 
 謎に包まれたまま、頭も腕も疲れてきたので1時間漕いだことだし、休憩することにする。ツクツクボウシの鳴き声が、林に響き渡っている。ツクツクボウシは夏の終わりを告げているのか秋の始まりを告げているのかどちらだろう。僕には前者であるような気がしてならない。気持ちの良い木陰でしばし休憩の後、すぐに湖上に出る。今日の行程は長いのでゆっくりとはしていられないのだ。







 単調な景色が続く。コンクリート護岸や岸辺と遮断するような物が存在している場所は苦手だ。こういう場所は、さっさと通り過ぎたい。








 ここは針江水郷へと続く水門。

 水門を潜って、針江水郷へ寄り道することにする。写真では左側の水門が開いているが、実は、向こう側の水門が閉じていて抜けることが出来ないのだ。そんなわけで、針江水郷は諦める。水門が閉まっているのは、琵琶湖の水位が高いためだろう。


 今回は、カヤックにカートを載せているのでバラストは積まなかった。今でもアルピナ1−450の1次安定性には不安がある。乗り沈、降り沈には要注意だ。でも、漕行中の安定性には慣れたせいか不安がなくなった。僕の体格は身長170センチ、体重58キロなのだが、体重が70キロくらいあった方が安定して漕げるような気がする。健康面でそれがいいかどうかは別問題だけど。









 それにしてもいい天気だ。ゆらゆらと揺れる水面と青い空、白い雲。








 また1時間漕いだので休憩する。琵琶湖は、どこでも上陸出来そうな気がするけど、必ずしもそういうわけではない。上陸出来たとしても、そこでしばらく休憩したいと思うような浜辺じゃないと上陸したいとは思わない。休憩ポイントにもこだわりがあるのだ。セルフタイマーで撮ってみた。

 わずか5分でもいいので、1時間に1回くらいはカヤックから降りて休憩した方がいいのかもしれない。以前は、4時間ずっとカヤックに乗りっぱなしということもあったけど、長距離を漕ぐときは早めに休憩した方が、疲れを軽減できるような気がする。








 安曇川の北側の河口辺り。今日の琵琶湖が濁っているのは、数日前に降った大雨で川が濁っているせいだ。

 この辺りは、日本でも有数の扇状地帯で、上空からの写真を見ると興味深い形状をしている。(LINK)
 これがもっと巨大な河川になればメコンデルタのようになるのだろう。この地帯は、安曇川デルタと名付けようか。

 「滋賀県立びわ湖こどもの国キャンプ場」で昼食にする。猛烈に冷たいコーラが飲みたかったので、自動販売機で買い、パンとおにぎり2個で簡単に済ませる。とにかく先を急がなくてはならない。ナビで、残りの距離を確認したらまだ7キロもある。昼食後、1時過ぎに水上に出る。






 ここの水門も閉じられている。水門の横から琵琶湖に流れ込んでいる水路があったが、ここには排水機があって、川の水を琵琶湖へ汲み上げているのかもしれない。僕が住んでいる岐阜県の濃尾平野は、輪中地帯で河川が多く、雨が降ると排水機に頼らないと水が流れていかないのだ。ここがそうなのかは分からないのだが。

 途中、ウインドサーフィンをやっている人に「ニイハオ」と、声をかけられる。彼は中国人なのか?それとも僕が中国人に見えたのか。







 2時30分、ゴール地点の萩の浜に到着する。何とか無事にここまで漕ぐことが出来た。琵琶湖では午後のこれくらいの時間から急に風が強くなることがあるので、2時くらいまでにはゴールしたいところだったが、30分遅れとなった。

 カヤックを乾かしながら1時間くらいかけてゆっくりとかたづける。ここから駅まではカートを押しながら歩いて20分ほどかかる。途中、街道沿いの酒屋で地酒を買い駅に向かう。




 今回利用した近江高島駅、近江今津駅はホームにエレベーターが両駅とも設置されているのがありがたい。階段を使ってカヤックをホームへかつぎ上げるのは大変なのだ。




 
 車窓から琵琶湖を眺める。電車だとわずか10分ほどの距離なのに、カヤックでは4時間の旅となる。その4時間のなんて濃密なことか。

 それにしても、水際を境にして、自分が水上にいる時と陸上にいる時とでは、感覚の鋭敏さがまるで違うような気がする。

 感動的な光景を目の当たりにしたとき、水上にいる方が、より心に深く突き刺さるのはなぜだろう。


 この日、漕いだ距離は20キロ、琵琶湖の水位は54センチ。



Oeさん、こんにちは。

とても良い日に旅をされましたね。カヤックの時間と電車の時間のギャップが心地よい刺激となったことでしょう。

針江浜の湖岸に、湖岸のヨシを守るために「砂ノ小路とめまろ」(漂砂防止堤)、「笑波亭波太郎」(消波堤)と名前が付けられた杭があります。

名前をつけた人のユーモアに笑います。
ウッドデッキ | 2013/09/26 00:01
ウッドデッキさん。
琵琶湖の葦を守るため増やすための方策が実施されているということは、葦は増やすべきものだということなのでしょうね。
Oe | 2013/09/26 11:06
 そういえば、未だに湖西で唯一漕いでいない区間です。

 なかなかよさげな場所ですね。カレントもう少しで到着するので、そのうち行ってみようかと思っています。
てっさん | 2013/09/28 08:38
てっさん。こんにちは。
長めの距離を漕ぎたいときはここはいいかもしれません。カレントが到着しましたら、また日生の島巡りの旅もご一緒させてください。
Oe | 2013/09/28 16:55
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